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商業施設の占い師を1年やってわかったこと

 今日は柏モディという丸井系列の商業施設に入っている開運館E&Eでの鑑定日でした。2019年12月7日にデビューして1年1ヵ月になります。そこで、今日は占い鑑定所の鑑定士についてお話してみたいと思います。

 開運館E&Eは全国主要都市の商業施設内に50店舗以上の鑑定所を出店する株式会社です。所属鑑定士は500名以上。35年前に日本で初めて商業施設に鑑定所を出店した、この分野では草分け的存在です。ご一緒しているS先生によれば、「バブルの時はS百貨店本店だけで2000万の売上があった」とか。もちろん、今となっては「兵どもが夢の跡」ですが(笑)。

 ホームページによれば、年間15万人近い相談者があり、52%のリピート率を誇るそうです。面接の時の専務の言葉は「お客様の70%がリピーターだから、最初はゼロが続くのを覚悟して下さいね」でした。

鑑定所の占い師は交通費も食費も自前の厳しい仕事

 所属する鑑定士はフリーランスです。同じく専務から言われたのは「交通費も食事代も自腹の厳しい世界です。お客様がたくさんくる先生は、SNSなどで積極的にマーケティングされている方ばかりですね」ということでした。

 私は応募時から「きっとお客様は少ないだろう」と思っていました。だって、色々な鑑定所を通りかかると、ブースに座って暇そうにしている占い師をよく見かけたからです。(実際は違っていて、柏モディにも1日に8人もお客様が来られる売れっ子の先生もおられます)。

 それでも開運館E&Eに入った理由は2つあります。1つは「占いブースって、どういうシステムになってるんだろう?」と興味があったから。もう1つは、「ああいう公の場で顔をさらして占い師デビューすれば、プロとしての覚悟が定まるだろう」と思ったからです。それまで数人は友人や知人、その紹介者を中心に鑑定してましたから。

一番の苦労はは店長として店を預かり、レジを締めること

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 さて、会社の幹部の面接と占術の試験に合格し、晴れて所属鑑定士になった私ですが、苦労したこと、驚いたことがありました。まず、一番の驚きは、仕事に「店長として店を預かる」ことが含まれていたことです。私は週1日、金曜日しか鑑定所にいませんが、たとえ1日でも、その日は自分&相棒の先生が店長で、開店準備とレジ締めをしなければならないのです。

 朝は40分前に入って本部へ報告し、レジの点検やカード決済端末(MP)の電源を入れ、前日のお釣りがいくらか確認し、掃除をしたり、写真入りのパネルを出したりして開店の準備をします。営業が終わると、今度は売上の精算をします。まず、開運館E&Eのレジを締めて、点検キーを押してレシートを出し、その数字と現金在高(レジに入っている現金)が合っているかを確認します。合っていたら、商業施設に入金するお金を袋に入れます。

 次にMPに売上報告を入力します。現金、自社カード、他社カード、お客様の数などを入れるわけです。そして、利上報告レシートを2枚打ち出します。そして、商業施設への報告用の日報(2枚複写)に売上の詳細を記入し、各々に3枚のレシート(自社レジ精算、売上報告、MPの精算)を貼り付け、控えをファイルして、報告書と現金を持って事務所に行き、入金するのです。

 学生時代、ハンバーガーチェーンや喫茶店でアルバイトしたことはありますが、レジを締めたことはありません。社会に出てからはリース、証券、PR、ライターと複数の職種を経験しましたが、「現金」を扱ったことは皆無です。ましてやクレジットカードの決算なんて、やったことがないわけです。

 なかには「ポイントで支払いたいんですけど」なんていうお客様もいらっしゃいます。そんなこと言われると、慣れないうちは「え、ポイントって、どうやって処理するんだっけ??」と頭が真っ白になるわけです。

 私は基本的に覚えが悪くてどんくさい人間で、一人で自信をもって店長ができるようになるまでに、10ヵ月くらいかかってしまい、相棒のS先生を呆れさせました。S先生は元銀行員で銀座のクラブ経営者という経歴の持ち主で、70代でも頭がキレて、計算が人一倍早い方です。よくぞこれまで我慢して下さったと感謝の念しかありません。

毎週足を運んで下さるリピーターのお客様に感謝

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 もう一つ驚いたのは、リピーターのお客様の存在です。私自身、色々な占い師の先生方に鑑定を受けたことがありますし、わずかながら、リピートしている先生もいます。でも、それは1年に1度とか、2〜3年に一度くらいの間隔です。ところが開運館E&Eには有難いことに、毎月とか、毎週のように足を運んで下さるお客様がいるのです。

 デビューしたばかりの頃は、対面のブースにおられるS先生のところに頻繁に来られるお客様を見て、「ああ、こういう人がリピーターなんだな」と見ているばかりでした。息子さんの縁談が持ち上がるたびに相性を聞きにこられる方、単におしゃべりしたくて月に1度、訪ねて来られる方など、動機や理由は千差万別ですが、リピーターの方たちが必ずしも「当たる当たらないを基準に鑑定士を選んでいるわけではない」ようです。

 今、私にもほぼ毎週、足を運んで下さるリピーターのお客様Yさんがいて下さいます。Yさんが私を選んで下さる理由は「組織の人事がわかっていて、非現実的なことを言わないから」だとおっしゃいます。今日もYさんは小雨が降る中、お顔を見せて下さいました。Kさんのご相談内容は9割が仕事のことです。

 このコロナ禍でビジネスの状況は不透明です。真剣に占ってはいますが、正直、すべての結果が当たっているかどうかはわかりません。ただ、Yさんの現状や不安、人間関係について、Yさんの次に良く知っているのが私であるという自負はあります。体調が悪くて早く上がろうかなと思う日でも、「あ、今日はまだYさんがいらしていない」と思うと、お顔を見るまでいなければと頑張る気力が湧いてくるのです。
 
 結局、占うことによってお客様をちょっぴり支えているかもしれないけれど、誰よりもお客様に支えていただいっているのは、他ならぬ占い師なのです。1年余りたち、それが言えるようになれた自分が嬉しいし、その何倍も何十倍も何百倍も、お客様への感謝の気持ちでいっぱいです!!

占い師はトシをとることが不利にならない希有な職業

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  余談ですが、開運館E&Eに入る前、「若い人は若い占い師が好きに違いない」という思い込みがありました。ですが、現場でお客様を見ていると、むしろ逆のケースの方が圧倒的に多いのに驚かされました。

 鑑定ブースが向かい合わせであると、高校生や大学生など、若くて恋愛の相談に来られるお客様は迷うことなく70代のS先生のブースに入られます。S先生は恋愛経験が豊富で、恋愛が得意分野の一つですから、きっとそういうオーラを放っているのでしょう。今日もそうでした。そして、40代から60代で仕事や転職、介護などの相談に来られた方は、私を選んでくださることが多い気がします。

 占い師って、年をとることが不利にならない仕事です。それって、人生100年時代にとってもステキなことですよね。実際、開運館E&Eには70代、80代で現役で活躍されている先生方がたくさんおられます。

 まだまだ「○○で一番売れてる占い師」でもなければ、「行列のできる占い師」でもないのですが、占い師はたとえ10時間座ってお客様が一人でも、そのお一人が喜んでさえ下さえすれば、「ああ、今日は最高だった!」と思える仕事です。

 その一人との出会いを求めて、来週金曜日も鑑定所という「舞台」に立ちたいと思っています。

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