見出し画像

鑑定で思う「親子関係」の難しさ

「大嫌い」な母親を引き取った娘の苛立ち

 先週は総合的なリアル鑑定を希望されるお客様がおられ、久しぶりにランチをご一緒しながらじっくりお話を伺い、鑑定をさせていただきました。そこでつくづく実感したのは、「親子関係の難しさ」です。

 お客様は席につかれると堰を切ったように、半年ほど同居しているお母様に対する不満や恨みつらみを話だされました。その途中に何度も「大嫌いだから!」というセリフが挟まれます。大嫌いなお母様なのになぜ同居しているかといえば、離婚してアパートで一人暮らしをしていたものの高齢となり、年金だけでは生活が成り立たなくなってきたからです。見かねたお客様が仕方なく、購入された新居に引き取られたというわけです。

民法には直系家族の扶養の義務が定められている

 引き取らずに生活保護を受けてもらうという手もあったかもしれませんが、民法877条1項は、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定めています。これは自分の生活を犠牲にしてまで助けろという意味ではなく、「扶養義務のある者が、自分(配偶者・子がいる場合はそれらも含みます)の社会的地位、収入等に相応した生活をしたうえで、余力のある範囲で、生活に困窮する親族を扶養する義務」なのですが、お客様には経済力がありました。結婚が早かったので、3人のお子さんは成人され、教育費も掛からなくなって、幸か不幸かお母様一人を養うくらいの余力があったのです。

 そのお客様はお母様が払っていたアパートの家賃代を生活費としてもらっているそうですが、食費、光熱費、医療費など、経済的な面倒を全て見ているのですから、当然ながらアパート代程度では足りません。ですが、お客様を何より苛立たせるのは、経済的な負担でなく、お母様が身勝手で、自分のことしか考えないところなのだそうです。

 フルタイムで働かれているお客様や成人されているお孫さんたちの為に家事をやるわけでもなく、お客様がせっかく心を込めて作った料理も口に合わないと手をつけない。それでいて、家の中に好きな食べ物があると、知らない間に全部一人で食べてしまったりする。

母と娘だから上手くいくとは限らない

 1日何をやっているかといえば、リビングでひたすらテレビを見ているのだそうです。そのため、お客様やお子さんが仕事から疲れて帰宅しても、リビングがくつろげる場所でなくなってしまいました。仕方なく、夜は自分の部屋でテレビを見てくれと、お母様専用のテレビを買ったそうですが、これはほんの一例です。長年、離れて暮らしていた母親は考え方も生活習慣も違い、血は繋がっていても「家族ではない」のです。

 実は高齢の母親を娘がサポートするケースは意外と多い物です。母と娘なら上手くいきそうに思われるかもしれませんが、そうはいきません。仲が良いと思われていた親子でも、同居がうまくいかず決裂することはよくあります。元々大嫌いな母親なら、上手くいくはずがありません。

 そのお客様は3人のお子さんを出産後に離婚され、女手一つで苦労してお子さんたちを育てあげられた方で、仕事熱心で男前な性格です。数秘術で見ると典型的な「1」の自立心が強く開拓型の方ですし、能力的にも「1」が傑出しておられます。親分肌で面倒見が良いので、口では毒づきながらも、親を捨てることが出来ない優しさを持ち合わせておられます。

過去生や来世を考えれば人間関係はプラマイゼロ

 もう一つ、カードを引いて出てきたのは、お母様と過去生で縁があったということ。もしかしたら、過去生ではお客様とお母様の立場が逆転し、お客様の方が母親として、子供にうんと迷惑をかけていたのかもしれません。なので、霊界で「今度は私が出来の悪い親を持つ子供の気持ちを体験してみるわ。だから、あなたは毒親の役をやってね」と示し合わせて生まれ変わってきた可能性だってあるのです。

 今世だけ見ると理不尽だったり不平等なことがあっても、輪廻転生の繰り返しの中ではプラマイゼロ。全てはカルマを解消するためと思えば、カルマを解消させてくれるお母様の存在も少しはありがたいと思えるかもしれません。もちろん、同居を続ける限り、日々の苛立ちや腹立たしさから解放されることはないでしょうが。

親友や恋人でもネガティブな話には付き合えない

 私は総合鑑定をご依頼くださったお客様の場合は、お会いする前に鑑定書が作ってあります。リアル鑑定はその場で鑑定するのではなく、それをご説明するために会うわけです。ですが、そのお客様の場合は、最初の1時間はこちらが口を開く余地はなく、ひたすら日頃の憤懣や鬱憤を「傾聴」することとなりました。

 親友でも恋人でも、ネガティブな話は1度は付き合えても、2度、3度となると苦しくなる物ですし、本人も大切な人を失いかねない話はしたくありません。利害関係のない第三者である占い師だからこそ、話せることがあるのです。ですから「傾聴」は占い師の重要な役割だと思っています。

人は年をとると「Me First」になりがち

 たとえ子供時代や成人前は愛情深い親であっても、経済的な問題が発生したり、年老いてくると、「Me First」、つまり自分のことが最優先の人間に変貌するケースは少なくありません。ですが、子供にとって親はいつまでも親なのです。最期まで自分を犠牲にしても子供を守り、愛してくれる親を期待しますし、そうあって欲しいと願うものです。その期待が裏切られたとき、子供の親に対する愛は憎しみに変わります。

大人になれたのは、親以外にも愛してくれる人がいたから

 かなり前ですが、うつ病の取材をしていた頃、ある専門家がこんなことを言っていました。私はその頃、家族に深刻な問題を抱えていて、「世界で一番不幸な人」状態にありました。そんな時にとても心を軽くしてくれた言葉なので、ご紹介しておきますね。

「大人になっても親を恨んでいる人は多いけど、その人には必ずこう言うんですよ。あなたが大人になっているということは、親だけじゃなく、誰かに面倒を見てもらい、世話になっているということでしょう。周囲の様々な人たちの好意ややってもらったことをかき集めれば、100%に近くなるはず。だから、親から100%の愛をもらえなかったことを恨むのはやめて、これまで自分がお世話になってきた人たちの顔を思う浮かべてごらんって」

「傾聴」は利害関係のない占い師の大切な仕事

 占いの役割は「傾聴すること」と「第三者の視点を提供すること」です。現代社会は女性もみんな働いていて忙しく、気持ちはあっても「傾聴」する時間も心の余裕もありません。プロとしてお金を頂いているから、ド真剣に耳を傾けることができるのです。

 最近のリアル鑑定から改めて傾聴が求められていることに気付かされ、近く、サービスに「傾聴占い」を追加する予定です。ご興味のある方は下記LINEへご連絡ください。お待ちしております。

 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?