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占いをリピートする意味 〜人は初対面で本当の悩みは話さない〜

 今週の日曜、5月9日の午前中、終活オンラインイベント「オトナフェスタ 〜明るく楽しく終活しちゃお!〜」に参加しました。私は終活カウンセラーの資格も持っているので、お誘いを受けたのです。

 このオンラインイベント、おそらく終活系のイベントとしては初めて、毎月第2日曜日に定期開催するのです。プロデュースしたのは、「数多くのオンラインコミュニティを立ち上げてきた合同会社Smart Luce 代表社員の大重雄進(おおしげ ゆうしん)さんです。大重さんからなぜ定期開催するのかを伺ってとても合点がいき、占いとも通じるものがあると思ったので、シェアさせていただきます。

オンラインでもコミュニケーションのルールはリアルと同じ

 大重さんは以前から、オンラインに対して、リアルと同じようなコミュニケーションのあり方を考えているそうです。例えば、Facebookの友達申請。なりすましの可能性もあるので、直接会った人のみ友達申請を承認するという「自分ルール」を設けているとか。ごくまれに共通のグループでコメントのやり取りをした後、「あ、この投稿者とは気が合うな。もっとやり取りしてみたいな。」と思った場合は承認することもあるけれども、あくまで例外的なケースだと。

 人は信頼関係を構築するのに時間がかかりますし、人と人との距離は徐々に縮まるものだし、一気に仲良くなるより、時間をかけた方がお付き合いが長続きするような気がします。世間には詐欺まがいの行為でラクに大金を稼ごうと企みをめぐらせている人もいますし、そんな犯罪がらみのことでなくても、何度も顔を合わせ、色々な話をしたり、時には食事を共にしたりして、人となりというのはわかってくるものだと思うからです。

人と人の距離を縮めるには定期的に顔を合わせる必要がある

 終活はエンディングノートの書き方や片付けなどからスタートし、不動産の売却や相続など、お金にからむ重要な問題が付随することが多いものです。例え弁護士や行政書士などの専門家であっても、初対面の人にいきなり家族の深刻な問題を話したり、高額の契約をする人はまれでしょう。

 それに、士業にも得意な分野とそうでない分野があり、お互いの相性もあります。一般人は相続問題が発生してから慌ててホームページで検索したり、知り合いに紹介してもらう方が多いものです。占いのお客様の中には、無料の「法テラス」でたまたま出会った弁護士さんにお願いしたという方もおられました。

 お金の絡む重要な問題ほど、何度も顔を合わせ、世間話などもして徐々に打ち解け、「この人なら信用できる」と確信できた時、「実は・・・」とそれまで口にしなかった深刻な問題の相談に乗ってもらうというのが、本来あるべき姿だと私自身も考えています。そのステップを踏むためには、月に1度、同じ日時で定期開催するべきだと発起人で自分史アドバイザーの田和真由美さんも大重さんも考えたそうです。

占いも深刻な悩みは信頼関係が構築されなければ出てこない

 実は「初対面の人には深刻な問題は話さない」というのは、占いにも当てはまります。「え、だって占いは、問題があるから来るんでしょう? 話さないって、どういうこと?』と思われるかもしれません。もちろん、鑑定ブースに足を運ばれるお客様は、「こういうことで困っているけど、どうなんでしょう?」といった具合に、占って欲しいことを話されはします。ですが、商業施設にあるブースですから、最初は誰に聞かれても困らないような問題を持ち込まれるのです。

 例えば、初めてブースに足を運ばれた時は、「クリエイティブ系の会社にいるけれど、労働時間が長くて体調を崩してしまい、辞めるべきか迷っている」というご相談だった方がいました。私は鑑定結果から、できれば傷病休暇を利用して欲しい。それが出来なければ、辞めることを強くお勧めしますとお話しました。

 3ヵ月くらいして、その方が「辞めました」と来てくださったのです。最初は転職のタイミングや方向性のご相談だったのですが、その後で「実は・・・」と切り出されたのが、仕事とは関係のない、家族間の複雑で深刻な問題でした。そのお客様は10年くらい、ずっとその問題を抱え、どうにかならないかと悩んでおられたのです。

 あるいは、あるお客様が「親友との関係がギクシャクしている」という相談に来られました。とても詳細かつ論理的に問題を説明して下さり、私としては、100%お客様の課題を把握したつもりで、オラクルカードで鑑定をし、アドバイスさせて頂きました。ところが、暫くたってもう一度再訪して下さったとき、やはりその問題が解決していなかったので、カードで鑑定したのです。そのときは「OSHO禅タロット」を使いました。

 すると、課題として出た最初の1枚が<小アルカナ:雲:マインド>の「Guilt(罪悪感)」だったのです。話の流れからすると、どうして出たのかわからないカードでした。私がつい「あれ?」と口にしたところ、お客様は間髪を入れずに「私にはわかります!!」と叫ばれたのです。

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 そして、実は「親友」として語ってきたのは、昔から親交のある既婚の恋人なのだと打ち明けて下さいました。込み入った事情やビジネス上の絡みがあり、決してお客様が悪いというわけではなく、むしろ迷惑を被っている状況だったのですが、ずっと罪の意識があり、それが心から愛し、心から生き、人生を楽しむことを妨げていたのです。

 罪のカードが出たことによって、お客様は罪の意識という真の課題に光を当て、それを解決するために、恋人とどう付き合うべきか、あるいは付き合わないべきか真剣に考えることになったのです。

占い師は鏡で、リピーターが向き合っているのは自分自身

 占い師も初対面で10分とか20分の鑑定では、お客様のほんの断面しかわかりません。しかも、お客様がすべてをさらけ出して話しているとは限らないのです。ですが、二度、三度と足を運んで下さるリピーターの場合、徐々にその方の仕事や家庭の事情、価値観などがわかってきます。まるでジグゾーパズルのピースを嵌めているかのように、「人」の姿が立ち上がってくるのです。そうなると、お客様も本音で話して下さるようになります。鑑定の途中にボロッと「実はね」とご家族に対する思いを吐露されることも珍しくありません。

 占いのリピーターというと、占いや占い師に依存していると思われるかもしれませんが、実は占い師は鏡のような存在です。お客様が向き合っているのは自分自身であり、自分が抱えている課題なのです。人によっては悩みから目を逸らし、悩んでいることに気づかない方もおられます。それが占い師と話したり、カードを引いたりしているうちに、表面に立ち上がってくるんです。

 心を開かないと、鏡に本当の自分は映りません。少しずつ距離を縮め、気持ちに寄り添いながら、課題と向き合い、共に考えることをサポートする。終活も占いもスタンスは同じなのかもしれません。

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