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モンゴル漂流記

去年の8月、10 日間の旅に出た。
そのときに得た、当たり前すぎる大事なもののお話。

弊社(CRAZY inc.)には、great journeyという旅をする制度がある。
人生の夏休み。過去と未来を考える旅。

普通に考えたら、アートをインプットしに行きそうだったけど、
直感的に民族とか違う文化に触れたいと思ったので
モンゴルの田舎にホームステイをしに行くことにした。

首都ウランバートルから寝台列車に乗って9時間。
窓から見えるのはずーーーーっと地平線。
歩けば360度macのデスクトップ並みの、嘘みたいな風景。

人間よりも動物の方が多い場所。
乾燥がすごくて水が大事。お風呂も3、4日入れないのが当たり前。
食べ物は、ヤギ肉、ヤギのミルク、小麦粉、塩で全部表現できそうな味。
こっちのミルクティはしょっぱいので要注意。
(不味くないけど不意を突かれて吐き出すかと思った。)

隣町に行くにも、車で4時間とか高速道路以上の爆速で向かって
やっと辿り着けるようなスケール感。
馬乗ったりラクダにも乗ったりしたけど、それも含めて
ほとんどが移動してた旅でした。

旅の中ではノートを買って、思うことをずっと書いてた。

大地と空しかない場所で、
自分の感情や、誰かの存在による影響をとても感じてた。

ホームステイ先のちびっこ3人。
ブージェィン、グンジェ、アンハー(凄まじく呼びずらい笑)
3人と一緒に、日が暮れるまで追っかけっこしたり、
綺麗な石を探して見せっこした。
普通に水晶みたいな石が落ちてるから凄い。

モンゴルのお寺では、どのお寺でも
「世界中の人が幸せでありますように」
と祈りながら寺の周りを回って、最後に自分の願いを伝える。

こんなにたくさんの人に、毎日自分も幸せを祈られてたんだ、
って思ったらなんだか感慨深かった。

エネルギーセンターという、いかにも怪しい名前の場所にも行ってきた。
そこだけ土が赤くて、大地からエネルギーをもらう場所。
人に相談した後みたいな、地球に寄りかかるような、感覚があった。

ここまでは、広過ぎるモンゴルの田舎で過ごし、
最後の2日間は首都ウランバートルで過ごした。

「良くする」ってなんだろう。

旅が終わる頃に思ったこと「良くする」ってなんだろう。だった。

ウランバートルは急激に発展したため、道路に対して車が多すぎて毎日が渋滞。クラクションは常に鳴り、交通事故も日常茶飯事。(私が乗った車も事故って一度乗り換えした。)道路脇には水が流れる場所は無く、雨が降れば川のような道。駐車場のないデパートの周りは、一度止めたら二度と出れないような車で溢れかえってる。

きっと、この国をもっと良くしたい。そう思って街ができた。
道路を作って、仕事が生まれて、人が引っ越してきたんだと思う。
でも正直、幸せとは少し遠い切なさを感じた。

デザイナーは世界をちょっとでも良くする仕事だと思っているのだけれど、良くするってなんだろう、ということを、思いがけず考えさせられた旅だった。

人間が作ったものを、人間が使う。
人間の日常を作る。当たり前をかたちづくる。

つくる人が何を目指しているかとか、何をつくりたいかで、
当たり前はこんなにもあっさりと、気がつかないうちに変わる。

たまにしかお風呂に入れなくても、
綺麗な石を拾ってるような毎日にある良さも大事にしたいと思った。

次行くなら北欧とか丁寧な暮らししてる所に行きたいな。
おしまい。