見出し画像

療育花育の記録 ともくん#8

ともくんは、平成25年生まれ。障害名はついていません。いわゆるグレーゾーン。普通学級に1年通い、勉強も頑張りました。2年生からは、障害クラスに入り、お母さんもともくんものびのびたのしく生活できるように少しづつなってきました。

いきものが好きで、カマキリを飼ったり、抜け殻を収集したり、遺跡を掘りに行くのが好き。いろんないきものにとても興味があり、調べるのも得意。おともだちからは、いきもの博士と呼ばれることも。

ともくん 20240122「眠い日」


終了後の経過について 親御さんから

今回は、女の子の生徒さんと一緒の二人での教室でした。

とも君に先生が最初「外遊びしたの?」「今日はどんなお花?」と聞いてくださっても、眠そうにして答えようとしませんでした。

次に「何で人間は長生きする花切っちゃうの?花切っちゃうと命が短くなっちゃうよね?何で人間は花を切って、表現したり生けたりしないといけないの?」と聞いてくださったのですが、それにも答えることができませんでした。

先生は「不思議だよね。」と二人に投げかけられ、畑の方が長生きするのに何で切り花にするのか?先生はずっとそのことを考えてきて、研究して、本を二冊出して発表したという話をしてくださいました。

大きな本(KIRIBANA)の方には、作品を作りながらこれだと分かったことを書いている。答えは、本にくるんである紙に、ガイアシンフォニーという映画の監督が人間ってそういうものなんだということを書かれている。

人間は、木を切り、花を手折る生き物だと。
大切なのはその木や花が喜んでいるかどうか、花を活けるということは花の生命を移し変えるということ。
真心をもって移し変えられた花は必ず喜んでいると書かれている。

一番大切なことは真心。
本当の気持ち、自分が本当に感じていることを感じること。
花に真心をもって接してあげること。
花は人間と同じように分かる。意思がある。心がある。
相手が思っていたことが分かる。
花は人間よりずっと前から生きてきた。
人類は短く、花は何億年も前から生きてきて先輩なんだということ。

今は、SNSでその人の表だけ見せていることも多い。お花を生けることで、感性、中身、心、意識だったりそういうものを養ってほしい。

花を切って生けるという行為をするのは、
自分の内面や気持ち、行動が成長するために、植物が手伝ってくれているということ。

お花に応えてあげること、
片づけができるとお花が上手になるということ。
花に対する姿勢が大事!花のいのちをいただいて「いのちをいただきます」という気持ちで生けることが大事ということ。
一番お花が上手になる方法は、畏敬の念をもつこと、
人や花を敬う気持ち、大事に思う気持ち程こわいことはなく大切だということ
等、たくさんお話してくださいました。

なのにとも君は、大切な話をしてもらっているのに、眠そうにあくびをしていました。
やはり理解も難しく態度に出るのかなあと悲しく思いました。


次に先生は、「いのちをいただきます」という気持ちで花を生ける姿勢を保つために一番早い方法を伝授しますということで、
まず目をつぶって、深呼吸をゆっくり五回、おへその辺りに手を当てて、深呼吸を五回するということをしました。

この時もせずにあくびをしていました。
自分が満足することが大事だよと話されました。

最初からずっとだらけた感じで聞いているのか聞いていないのか分からない様子でしたが、
お花を生ける時間になるとしゃんとしてきて、
大きい菊の花を「太陽みたい。」と言いながら生けたり、
先生が「何の花?」とか聞いてくださると、それに対して答えたり、
「ハサミ慣れた?」と聞いてくださると「うん。」と答えたりと会話しながら生けていました。

いつものごとくパパパ~と生け終わりました。
我が家は、お花を飾る時の壁がごちゃごちゃしているため先生からのアドバイスもあったりして今回お花のバックに白い板を用意してみました。

それをバックに作品を飾ると、先生が「後ろスッキリするとこんなにキレイ!お花喜んでる?」と聞いてくださり、
それに対して「分かんない。」と答えたのですが、その後すぐに「いい感じ。」と自信に満ちた表情で言いました。

先生も「お花頑張ったね。お片付けも頑張ろう。お母さんもとも君のこと一生懸命サポートしてるよ。
とも君のことを、みんなが応援してくれている。
教室を休まないでいてくれて嬉しいよ。」とお話してくださいました。

最後に元気でねと会話し
先生の「ありがとうございました。」にあわせてあいさつをして終わることができました。

その後は、自分でバケツとボールの水も捨てて、ハサミにカバーもつけて、ゴミも新聞紙に包んで、私が何も言わなくても全部自分でできました。
片づけできるようになった!と嬉しく、成長をものすごく感じました。



「楽しかった」と言っていました。その後「どうして人は花を切って生けると思う?」と聞いてみましたが、う~んと少し考えるしぐさをした後「分かんない。」と答えました。


お話を聞くことはなかなか難しい面があり、理解もなかなかできないので、態度にどうしても出るのが悩むところです。

今日のお話は、とも君にとっては難しかったように思いますが、とも君なりに何か感じることができていたら良いなとは思います。

最初の頃から比べると、お花を生ける時に会話しながら生けるようになってきて大きな変化を感じます。
先生と会話ができるようになってきたとも感じます。

今回もお花を生けている時は、とても楽しそうでした。

また、片づけが言われなくても全部自分でスムーズにできるようになってきました。回を重ねることで習慣化してきたように思います。すごい成長だなあと嬉しく思います。

今回の様子を見ていて思うことはやっぱりお話を聞くのは苦手、実践型の子なんだなあということです。

とも君の特徴だと思うので、理解してあげないとなあと思いますが、親としては苦しいことでもあり、つらいことでもあります。

先生のお話は、横にいる私にとってとても良い学びになっているので、それはそれで良いことなのでプラスに考えようと思います。

それによく考えると、
とも君とそのお話を一緒に聞けて
同じ時間を共有できたということは
貴重な時間にもなったんだなと思いました。
今回もたくさんの気づきと学びをありがとうございました。

  

写真記録

今までで一番流れがスムーズだった


前回を踏まえた検証と考察

最初から教えずに、彼が困った様子になるときを待って、力を養うきっかけを作ってみることにする。

今回は、3名でのオンラインレッスン。
自然に自分で考え自分で生けていた。
特に困る様子もなかった。

印象記録

インフルエンザで、昨日まで休んでいたとのことで、眠たそうにしていたが、よく、それでも花をやろうと思ったな、と感心。

1回体験の女の子がいらしたので、
本質的なお話をしたあとに、いっしょに花をいけた。

話の内容は「なぜ、人は花を切り生けるのか」。

根のあるままにしておいた方が長生きして、命が長らえるものを、なぜ、人間はわざわざ切って短命にしてまで、花をいけなければならないのか、人間のエゴなのか?
に、ついて、質問しながら、
私の体験&研究した持論を話した。

畏敬の念とは何か?大切にするってどんなことか?
の深い感覚も、
良い機会だったので、伝えてみた。
そして、自由にいけていただいた。

女の子には、花を一本挿すたびに、逐一母親を見て、母親に聞いて、言われたそのように挿そうとするので、
○○ちゃんは、今日はいい悪いはないので、すきなように生ける日なので、
お母さんに聞かないで、自分で思うようにいける練習をしましようね。
と促した。


現場から

ともくんはいっしょにそれを聞いていたが、ともくんの中にはない、その感覚(逐一誰かに聞かないと、なんとなく落ち着かない感覚)の違いと仕上がった花を比較して、

いい悪いではなく、
いろんな人がいて補い合って生きている、そんな、違う者同士の共生感覚がインプットされたらいいな、と、私が欲張って思ったが、
ともくんは病み上がりのため、
他人のことまで感じられたかどうかは、不明。

他の作品により、比較対象があることで、
自分をより深く知ることができるという、メリットは大きい。
彼にとって、また、誰かといっしょにできる機会があることを願う。

難しい話は、あえてしてみた感がある。
自分にはない引き出しの世界観を出してみて、違う世界、違う意識、などなどの「わからない」世界があるんだな、と感じてもらえたら、それでよかったので、
理解しているしていないは、ほとんど関係はない。

大人でも理解できないような話なので、体験を続けたあとのゴールを出した感もある。

なので、お母さまの心配や、悩むことは、全くないことをこの場でお伝えしておきたい。

お母様へ
長い間花を体験してきた人にしか理解できない感覚をお話してみただけなので、安心されてください。
ただ単に、人と人としてともくんと接したのでした。

ともくんに限らず、すべての人は、逆上がりも自転車も、頭や理論で乗ったりできたりしません。
実践体験で身に付くものと思います。私もそうです。わたしもともくんと同じです。
ともくんだけが特別な人間ではないと思います。
よくわからない話をあのともくんが、席を立つことなく、黙ってすわって画面をみながらじっとしていることのほうが、私はおどろき、うれしく感じました。
ありがとうございました。また次回が楽しみですね。



次回考察

次回はあきらくんと別日になり、ひとりきりなので、
時間を区切らず、
彼が納得するまで久しぶりにお付き合いしてみる。


―to be continued

この記事が参加している募集

子どもの成長記録

2003年から一万人以上の方に花育をしました。現場でどんな風に、どうしたか、結果どうか等、遺さないまま頭の中にあり、書きのこして、いつか誰かの役にたったらいいな、と思い書き始めました。サポート励みになります。活動費として使わせていただきます。よろしくお願いいたします。