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小さな語りシリーズ 当分お休みのお知らせ 

Small Story Serie Posting break noticeいつも私の小さな物語を楽しく読んでいただき、ありがとうございます。 突然ではありますが、毎日続けている『小さな語りシリーズ』ですが、当分投稿をお休みとさせていただきます。 理由として ・自作の小説に専念するため ・デザイン・イラスト作成に専念するため 投稿停止期間は特に決めておりませんが、再開する場合は改めてnoteでお知らせします! 今後とも応援の程、よろしくお願いいたします。 Small S

    • 小さな語りシリーズ2024/07/19  Small Story Serie

      2024/07/19「入道雲」"Cumulonimbus" 夏休みの始まりと共に、男の子と女の子の兄妹は田舎の祖父母の家にやってきた。家は山間の静かな村にあり、鳥のさえずりと風の音が心地よい。毎朝、祖父母の庭で朝食をとり、祖父と一緒に畑の手伝いをするのが日課となった。 ある日の午後、兄妹は近くの川へ向かった。川沿いの道は細く、草がぼうぼうと生い茂っている。途中、お兄ちゃんがふと立ち止まり、妹に「見て、あれ」と指をさして言った。空には大きな入道雲が浮かんでいた。真っ白で、ま

      • 小さな語りシリーズ2024/07/18  Small Story Serie

        2024/07/18「蛍」"Firefly" 川のせせらぎが聞こえてくる中、僕は机に向かって期末試験にむけて勉強をしていた。開け放した窓から、ひんやりとした風が部屋に流れ込み、昼間の暑さが嘘のように消え去る。僕はふと窓の外をのぞいた。目線の先にぼんやりと光る小さな点々が目に留まった。蛍だ。 その光に引かれるようにして、僕は外に出た。夜の空はひんやりとして心地よく、草むらを歩くたびに露が足元を濡らす。蛍の光はまるで星のように輝きながら、庭の奥へと誘った。 庭の片隅にある小

        • 小さな語りシリーズ2024/07/17  Small Story Serie

          2024/07/17「バッティングセンター」"Batting center" 多忙な仕事帰りの夕暮れ、今日も俺は繁華街の片隅にあるバッティングセンターに向かっていた。入り口の古びた看板が薄暗い街灯に照らされて、かすかに輝いている。ここは、俺にとって特別な場所だった。ボールを打ち返す感触が、日々の疲れや不満を一瞬で忘れさせてくれるのだ。 中に入ると、いつもと変わらない光景が広がっていた。打席にはすでに数人の若者が順番待ちをしている。カーン、と爽快なバッティングの音をBGMの

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          小さな語りシリーズ2024/07/16  Small Story Serie

          2024/07/16「ダイエット」"Diet" 夏の日差しが照りつける朝、彼女はランニングシューズを履いて玄関を出た。毎日のダイエットが習慣となり、早朝のジョギングは欠かせないものになっていた。汗をかきながら、町の静かな通りを走る。近所の犬が彼女に向かって尻尾を振ると、それに軽く微笑み返しながら進んでいく。 仕事から帰宅すると、彼女はすぐに冷蔵庫を開ける。サラダの準備をするのが彼女の日課だ。カラフルな野菜たちを丁寧に洗い、鮮やかなサラダボウルに盛り付ける。彼女のスマートフ

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          小さな語りシリーズ2024/07/15  Small Story Serie

          2024/07/15「流しそうめん」"Nagashi somen" 夏の太陽が庭を照らし、風が吹き抜ける中、私たちは流しそうめんを楽しんでいた。お父さんが竹筒に冷たい水を流し込み、お母さんが「準備はいい?」と微笑みかける。私はその瞬間を逃さないよう、箸を握りしめる。 「行くよ!」お父さんの声と共に、そうめんが竹筒の中を滑り落ちる。私は一心不乱にそうめんを掴み、口に運ぶ。その冷たさと爽やかさが口いっぱいに広がり、思わず笑みがこぼれた。 「やっぱり、夏はこれだね」とお母さん

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          小さな語りシリーズ2024/07/14  Small Story Serie

          2024/07/14「カレーライス」"Curry Rice" 僕が学校から帰宅すると、お母さんがすでに台所に立って、何かを作っている。こちらを見ると「おかえり。手を洗っておいで」とにっこりして言った。ソファに座っていたお父さんも「おかえり」と読みかけの新聞から目を上げて言い、「今日の晩御飯は楽しみだぞ」と子供みたいな笑顔を浮かべて言った。 台所から、僕の大好物の匂いが漂ってくる。「もしかしてカレーライス!?」と僕は目を輝かせると、母親は微笑み「そうよ。あなたの大好きなカレ

          小さな語りシリーズ2024/07/14  Small Story Serie

          小さな語りシリーズ2024/07/13  Small Story Serie

          2024/07/13「故郷」"Hometown" 夏の日差しが窓辺に差し込む中、私は故郷の町へ向かう電車の中にいた。都会の喧騒から離れ、心地よい田舎の風景を車窓から眺めていると、懐かしさと共に心がほぐれていくのを感じた。 田んぼが広がる景色、緑の山々、そして川沿いに咲く花々。その風景に見惚れながら、記憶の中に眠っていた思い出がふっと浮かんでくるのを感じた。子供の頃、家族と一緒にピクニックに行った場所や、友達と探検ごっこをした裏山のことがまるで昨日のことのように鮮明によみが

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          小さな語りシリーズ2024/07/12  Small Story Serie

          2024/07/12「気ままな休日」"Carefree Holiday" 梅雨が明け、7月の中旬、空はどこまでも澄み渡り、街は夏の陽射しに包まれていた。独身のサラリーマン男性は、そんな日差しを背に受けながら、いつもより少しだけ早く起きた。その日は特に予定もなく、ただ一日を自由に過ごすつもりだった。 朝食を簡単に済ませた後、彼は部屋の片隅に置かれた古いチェスセットを手に取った。これも昔からの趣味の一つだったが、最近は忙しさにかまけて全く触れていなかった。窓から入る涼しい風に

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          小さな語りシリーズ2024/07/11  Small Story Serie

          2024/07/11「クレープ」"Crepe" 夏の夕暮れ、蝉の鳴き声がどこからともなく響いていた。学校の帰り道、私は友人と並んで歩いていた。薄い制服のシャツが汗で肌に貼り付き、時折手をパタパタ顔にあおいで暑さを和らげた。目的地は、駅前にある小さなクレープ屋だ。 道すがら、今日の授業やクラスメートの話で笑い合った。日差しは強く、アスファルトからの熱気が足元から立ち上るのを感じた。 クレープ屋に着くと、涼しい店内から甘い香りが漂ってきた。小さな店内には、壁一面に色とりどり

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          小さな語りシリーズ2024/07/10  Small Story Serie

          2024/07/10「認知症」"Dementia" 朝、まだ薄暗い台所で、私は母親のために朝食を準備していた。母親は認知症を患い、記憶の曖昧さが日々を支配していた。毎朝のルーティンは、母親がよく好んで飲んでいた紅茶を淹れることから始める。昔から紅茶が好きだったが、当の本人は最近ではそのことすら忘れているようだった。 「はい、お母さん」と紅茶と目の前に出してあげると、母親はこちらを見て、一瞬だけ目を細めて笑うが、その笑顔はすぐに消えてしまう。私はその笑顔を見るたびに胸が締め

          小さな語りシリーズ2024/07/10  Small Story Serie

          小さな語りシリーズ2024/07/09  Small Story Serie

          2024/07/09「家族」"Family" 男の子はワクワクした様子で、いつもより早く目を覚ました。今日は家族3人で海へ出かける予定だった。天気もよく、さんさんと太陽が輝ききらめいていた。 「準備はいいか?」と出発の荷造りをしていた父親が声をかけた。母親はキッチンでお弁当を用意しながら、「楽しみだね」と優しく笑った。「うん! 楽しみ!」と男の子はうなずいて、小さなリュックに水筒とお気に入りの本を詰めて、玄関へと向かった。もう待ちきれないといった様子だ。 車に乗り込むと

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          小さな語りシリーズ2024/07/08  Small Story Serie

          2024/07/08「結婚」"Marriage" 朝の光が優しく差し込むキッチンで、彼女は静かにお湯を沸かしていた。小鳥のさえずりが窓の外から聞こえ、部屋全体が穏やかな雰囲気に包まれていた。僕はテーブルに座りながら、本を読んでいるふりをして、彼女の動きを目で追っていた。 キッチンでの仕事を終えて、彼女がこちらへとやってくると「そろそろさ、結婚......のこと、考えてみない?」と突然打ち明けたきた。 僕は眉を上げて驚いた。「また急に真面目な話だね」 「だって、大切なこ

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          小さな語りシリーズ2024/07/07  Small Story Serie

          2024/07/07「虫取り」"Ballet" 夏のある日、彼は友人と一緒に川辺へ出かけた。昼下がりの太陽が水面にキラキラと反射して、まるで宝石のように輝いている。二人は虫取り網を持ち、足元を流れる川のせせらぎを聞きながら、川岸の草むらを歩いていた。 川の近くには小さな丘があり、その上には古い神社が静かに佇んでいる。木々の間から漏れる日差しが、二人の顔に優しく降り注いでいた。友人は虫かごを手にして、彼は大きな網を振り回している。 「ここにたくさんいるかな?」友人が尋ねる

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          小さな語りシリーズ2024/07/06  Small Story Serie

          2024/07/06「バレエ」"Ballet" 夏の午後、蝉の鳴き声が遠くから聞こえる中、彼女は汗をぬぐいながら、バレエシューズのリボンをきつく結び直した。日常の中で、彼女の心の中にはいつもバレエがあった。学校の授業が終わると、すぐに家に帰ってレオタードに着替え、鏡の前に立つ。その姿は、どこか儚げでありながらも強い意志が感じられた。 彼女の家は海の近くにあり、窓を開けると潮の香りがほんのりと漂ってくる。バレエの練習を始める前に、彼女は必ずこの香りを深く吸い込んで、自分の心

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          小さな語りシリーズ2024/07/05  Small Story Serie

          2024/07/05「怠け者」"Sloth" 真夏の午後、大学のキャンパスは閑散としていた。友人と二人、講義が終わった後のゆったりとした時間を楽しんでいた。木陰に座り込み、涼しい風に当たりながら、特に目的もなく会話を続けた。 「最近、なんにもやる気が出ねぇ。『怠け者』になっちまってるんだよな」と友人が呟いた。彼の声には少しの自嘲が混じっていた。 「動物のナマケモノが憑りつかれたのかな?」僕は冗談交じりに言った。「そんな感じかもな。今まさに、ナマケモノのあのまったりとした

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