小さな語りシリーズ2024/06/19 Small Story Serie
2024/06/19「筆箱」"Pencil case"
夏の日差しが窓から差し込む部屋で、小学生の少年は机に向かって宿題をしていた。宿題のプリントに集中しようとするが、なかなか進まない。外から聞こえるセミの鳴き声が、何となく彼の気持ちをそわそわさせている。
部屋の隅に置かれた扇風機が静かに回り、心地よい風を送ってくれる。彼は一度手を止めて、机の上に並べられた鉛筆や消しゴムを見つめた。ふと、視線が昔使っていた筆箱に止まる。それは母親から譲り受けた、彼にとってとても大切なもの