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「僕がいた時間」春馬さんのこと

いままた、ALS(筋萎縮性側索硬化症)をテーマにした
「僕がいた時間」
を観ている。

そしてただただ春馬さんに圧倒されている。
何度観ても春馬さんの迫力ある拓人に気持ちが持っていかれてしまう。

「三浦春馬」って演技派なんだなと実感した作品だった。こんなリアルなお芝居するなんて、この若さでなんてすごい人なんだ!

そしてその時も、回を追うごとにずっと泣いていた。

次に観たのはあの日のあと。
辛くて涙ばかり流していた毎日なのに、不思議とこの作品の春馬さんに逢いたくて仕方がなかった。
涙はリアタイの時の比ではなく、次の日は顔がお岩さん状態で大変だったけど…

闘病している姿は役作りとはいえ、痛々しく辛いドラマなのだけども、春馬さんのこの役に対する真剣な気持ちが随所から溢れていて、春馬さんを感じたかった。
春馬さんの伝えたい!と言う気持ちがしっかり伝わってくる、生半可な気持ちではないという覚悟。
お芝居への向き合い方、役の作り方に激しい熱量が伝わる。穏やかで静かなのに、激しく熱い想い。

「役と現実が重なって混ざってしまって、気持ちが大変な時があるけれど、お陰様でまわりのスタッフ、キャスト、友人、家族に支えてもらってこうしていられる。ありがたいこと。感謝している」
と、春馬さん。
春馬さんらしく、まわりの人を思いやる心と感謝を忘れない。

そして今、またその想いを感じたくて観ている。

多部さんとの息の合ったお芝居に、心がほっこりする場面もあるけど、重いテーマながら、二人のお互いを想う眼差しや仕草にまた心を揺さぶられてしまっている。とにかく一生懸命。
「メグ」こと恵も多くを話す役ではなくて、拓人が話したことに対して「うん!」とだけ返事するシーンが結構あるのだけど、それがまた微笑ましく、観ていてこんな関係性いいなあ、と思わせてくれる。多くを語らなくても深い愛情が伝わるというか信頼関係が伝わるというか。二人の相性の良さが伺える。

拓人の、弟の陸人や両親との葛藤も、私には拓人が私の息子の気持ちを代弁しているように感じてしまい、自分に言われているような感覚になり、また原田さん演じる母の、嫁として妻としての葛藤を吐き出す思いも手にとるように伝わってくる。母として観てしまうシーンの一つだ。
拓人が車椅子生活になり、ノートに
「母さんにずっと言いたかったことが言えた」
と書いた回ではまるで自分の息子の気持ちのように思えてしまう。次男の陸人から
「母さん、僕の人生から出ていってください。お願いします」
という、強烈な言葉をもらった母に長男の拓人は今までの胸の内を明かす。そして
「なんでもっと見てくれなかったの?」
と訴え、その後ほとんど動かない手で泣いている母をいたわる。何も言わないし、大袈裟なリアクションでもなく、ただただ優しく触れる…

春馬さん、あなたの母を想う気持ちがちゃんと伝わってくるよ。
拓人の優しさ≒春馬さんの優しさ
なんだね

これ以降だんだん動かなくなる手で、毎日一言をノートに書いていく拓人。

「メグ、抱きしめたい」

「母さんが褒めてくれた」

春馬さんの優しさ、繊細さ、温かさ、心の葛藤、胸の内が見事に表現されている拓人。
春馬さんは感情が昂ぶり涙を堪えるお芝居では必ず声が震えてしまっている。このときの春馬さんは、演技を超えて拓人が乗り移っているのだろうなと思う。

斎藤工さんは
「三浦さんの実直さ、真面目さが現場の雰囲気にも表れていて、とてもいい雰囲気の撮影現場。拓人の講演の場面ではエキストラの方がもらい泣きをしていたが、三浦さんのお芝居を通して彼のしっかりと根を張った役に対する誠実さが伝わったから涙がでたのだと思う。自分は泣くことはないと思っていたが、実際胸が熱くなった」
というようなニュアンスの事を言っていた。
だから春馬さんのお芝居を観て、感動し涙がでるのはそういうことか!と納得した。

私事だけど、このドラマの親子関係も私生活と重なり思うところがあり、尚更胸に来るものがあるのかななんて思っている。

そして、Rihwaさんの「春風」がタイミングよく流れる。ゆずさんの「よろこびの歌」とが絶妙なタイミングで流れてくるから、余計に感極まってしまう。

なんでも「こんな夜更けにバナナかよ」の撮影の忙しい合間を縫ってRihwaさんのライブに行ったという春馬さん。繋がりを大切にしていたであろう、春馬さんの優しさ溢れるエピソード。素敵な透明感のある歌声を聴いて、多部さんとの撮影の日々を思い出していたのかもしれないなあ。だって私もこの曲を聴けばすぐに「拓人」と「メグ」を想ってしまうもの。マモちゃん役の風間さんとひなちゃん役の山本さんも、春馬さんと多部さんは「拓人」と「メグ」そのものだと言っていた。
本当にそう思った。
思ってしまった。

こんなにリアリティのある役作りをするのは、想像がつかないくらい大変だったろうと思う。その覚悟を持って「拓人」に挑んだ春馬さん。
春馬さんのような表現者は二度と現れないのではないだろうか。

恵が拓人を抱きしめて言った言葉。
「私は拓人にずっといてほしい。私の為に生きて」
愛する人の命さえあればそれでいいんだ。

「三浦春馬」といえば?
「僕のいた時間」
というくらい、私の中では代表作の一つです。








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