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「お客様は神様」

言葉のイメージ

「お客様は神様です」
今はもう使われない言葉かもしれないが、幼少期はよく耳にしていた。
おもてなし大国日本を表す言葉だろうか。

この言葉は、「お客様を神様だと思って接しろ」という意味で、従業員は神様であるお客様にとことん尽くすというイメージを持つ。
実際に日本のサービスは素晴らしいし、なんとなく納得していた。

しかし、アルバイトを始めて自分が従業員側になると、それに疑問を持った。
従業員は必ずお客様よりも下で、理不尽に怒られても謝らなければいけないし、感じの悪いお客様にも笑顔で対応しなければならない。
それが当たり前であり、みんなやっている。
こんな言葉、誰が作ったんだろう。そう思った。

本当の意味

大学の授業の一環で、清水寺関係者の方のお話を聞いた時、「お客様は神様です」の語源を知った。

結論から言うと、”お客様が神様”ではなく、”神様がお客様“だった。

かの有名な「清水の舞台」は、今でこそ絶景スポット(撮影スポット)と化しているが、本来は、神様に向けて舞や琴などを披露する場である。
つまり、舞台での写真撮影に夢中になっているときの私たちは、神様に平気でお尻を向けているのだ。向くべき方向は逆である。

”お客様である神様”を喜ばせようと舞や琴などを披露していたことが、「お客様は神様」の語源なんですよ。と教えて頂いた。
あの絶景をバックにした美しい舞や琴の音色は、さぞかし風情があり、神様の心をそれは揺さぶったことだろう。

目から鱗だった。日本の文化を表す、そんな素敵な言葉だったのかと驚いた。

外国人観光客の急激な増加もあって観光地化してしまい、本来の「祈りの場」としての清水寺を知ってもらえていない。と嘆いておられたが、私もその一人で、恥ずかしくなった。

独り歩きする言葉

この一件があり、他にも素敵な語源を持っている言葉や、意味を誤認している言葉がありそうだと思った。
日本語を使う身として、やはり、意味を理解した上で正しく使いたい。

「お客様は神様」は、使用されるのはお店(飲食店など)だが、その語源はなんとお寺にあった。
全然関係ないところに語源があったり、思わぬところで本当の意味を知ることがあったりするから面白い。

日本や日本の言葉がもっと好きになるきっかけになりそうだ。

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