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障害者武道で学んだこと

障害者武道?

…聞き慣れない。
では、「障害者スポーツ」はどうだろうか。

「マイノリティ」や「バリアフリー」という横文字を日常的に耳にするようになり、「障害者武道」もだんだん認知されるようになってきた。

私は、週に1回、障害者武道の活動にボランティアとして参加している。
稽古の準備や着替えの手伝い、稽古のサポートを中心に、自らも生徒として稽古を行っている。

本当に武道ができるの?

初めて参加するまでは、どんな技を練習するのか全く想像がつかなかったし、障害を持つ方が本当に武道ができるのか疑問に思っていた。

私が活動しているところは「心合道」という流派で、その名の通り、相手とわせる武道だ。武道を通して心を通わせ、コミュニケーションをとりながら技の完成を目指していく。勝ち負けは考えず、相手を傷付けずにバランスを崩すという技のスタイルが、合気道に通ずると感じた。

障害者も健常者も、技に向き合う姿勢や意欲は変わらない。いや、むしろ障害者の方が真剣に真面目に稽古をしているんじゃないかという気さえする。

1年越しの学び

この活動に参加し始めてから約1年になる。慣れてきてサポートもスムーズになってきたが、慣れとは怖いもので、自分を客観視する意識を失う。

今日、脳性麻痺の生徒さんの相手をしているとき。
なんだかうまくいかない。呼吸が合わない。心が合わない。技がうまくかからない。…ここで一呼吸。
技に慣れて作業的になり、相手をきちんと見れていないことに気付いた。

今回だけでなく今までも、”相手の思いを感じて受け入れ、心で対話する”というのが出来ていなかったのかもしれないと思った。
相手に目線を合わせ、ペースを合わせ、必要があればサポートしながら互いに助け合って技を完成させていくという本来の目的を見失っていた。

相手の手や腕から力を”感じる”。力と一緒に想いも流れ込んでくる。
そんな不思議な感覚が、今日やっと掴めた気がする。

障害者だけ?

果たしてそれは、障害者相手だけに言えることなのだろうか。
健常者同士でも、相手の思いを感じて受け入れ、心を通わせることは必要で、むしろコミュニケーションの基本である。
でもそれってすごく難しい。

相手の思いを感じ取るその感覚を、この活動で得ることができた。
稽古をサポートしているつもりが、私も学びをサポートされていた。
大学の授業では学べないことが、まだまだたくさんありそうだ。


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