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わたしの仕事

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看護師として働く中で日々考えることたち。
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今、看護師のわたしが思うこと

今、看護師のわたしが思うこと

世界が誰も想像しなかった姿になって一年が経とうとしている。
一人の看護師が今思うことを、恐れずにここに残したい。あくまでわたし個人の思いとして受け取ってもらえたらいいなと思う。

わたしは大病院に勤める看護師だ。コロナ患者さんと接することはほとんどない病棟にいるけれど、対応に追われる日々であることに変わりはない。
わたしの働く病棟はもともと部屋数が少ない上に、コロナの影響で患者さんの他病棟・病院へ

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認知症とご夫婦

認知症とご夫婦

わたしの働く病棟は高齢の方がほとんどなので、必然的に認知症を併発している方が多い。

学生の時からその病の複雑さと残酷さには触れていたし、興味関心の強い疾患ではあった。

認知症は記憶障害が中心ではあるが、その症状は様々だ。

調べれば調べるほど、認知症の方に起きている状況を頭で理解しようとするのは難しかった。

けれど確かだったのは、一見無意味そうな些細な言動でさえ、その人の人生の一端に通じてい

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お別れと、"してあげられた"記憶について

お別れと、"してあげられた"記憶について

今日、患者さんのご家族に、一生宝物にしたいなと思えるものをいただいた。

その方は、病状改善のためにできることはもうなく、お看取りの方針で内科的治療を行っていた方だった。
ここ数日だろうというシビアな病状説明は、入院したその日にご家族にされていた。

最初は現状を受け入れられずにいたご家族も、時間が経つにつれ、着実に今の状態を理解し、気持ちの整理をしているようだった。

わたしは患者さんの全身状態

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人がすき、だから楽しい

人がすき、だから楽しい

たぶん、看護師は人がすきじゃないと楽しめない仕事だと思う。

優しく穏やかなおじいちゃんと話すのが、楽しい。

リハビリで歩けるようになっているおばあちゃんを見て、感動。

患者さんやご家族に感謝の言葉を言われて、嬉しい。

看護師の仕事は、何も考えずただルーチンのケアをするだけなら、そんなに難しい仕事ではない。

慣れれば誰にでもできることはたくさんあるし、ロボットが代われることもきっとある。

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仕事としんどさと存在意義について

仕事としんどさと存在意義について

入職してから、たくさんたくさん、本当にたくさんつらいことがあった。
特に1年目は新しいことばかりの日々に常にストレスを感じていたし、心底行きたくない日は職場に行っただけで休まなかった自分を褒めた。

看護師の場合は国家試験も受けているから、基本的な知識はそこそこついているのかもしれない。

けれど、いざ仕事をはじめてみると、0からのスタートに間違いなかった。

必要なことを自分で考え、優先順位を考

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病の残酷さと、それでも生きるということ

病の残酷さと、それでも生きるということ

若い方はほぼ入院してこない病棟で、わたしとほとんど歳の変わらない方が入院してきた。

最初の2〜3日は病状が不安定で、このまま乗り切れるかもしれないけれど、悪化するようなら手術、という状況だった。

その時期にご本人を受け持ったわたしは、病状理解や入院前の生活について伺うために、検査が終わるのを別室で待つ家族のもとに向かった。

そこには、声を殺してとめどない涙を流し続ける旦那さんがいた。
一目見

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わたしのこと。

わたしのこと。

わたしの職業は、看護師。

入職当初は名乗るのもおこがましいと思うくらい、全然仕事ができていないという気持ちが大きかった。
でも、少しずつ少しずつ、職場のみなさんのおかげで成長できている。

何より今は、自分の仕事のことを少しだけ誇らしく言えるから嬉しい。

仕事はもちろん大変だけれど、とてもやりがいを感じられる。
わたしのいる科の患者さんの多くは、リハビリで程度の差はあれ回復していくから。
口か

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