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ホテルのレベニューマネジメントとは?定義や取り組み方、実践方法のまとめ


※このレベニューマネジメントガイドは、ハルモニアが以前運用していたMagicPriceサイトからnoteへお引越ししました。この記事はX2020年2月18日のものです。



ホテルや旅館のビジネスの特徴は、在庫の繰り越しができないということです。また、利用するお客様の数も季節やイベントによって日々変化し、それらによって需要が大きく変動するのも特徴のひとつです。
そのため、どのようにして価格決定をすればよいのか、とても難しいですよね。

しかし、料金を宿泊時期や予約のタイミングによって調節するレベニューマネジメントをきちんとした方法で行うことで、収益を最大化することができるようになります。


本記事では、取り組み前に「レベニューマネジメントとは何なのか」を解説します。


レベニューマネジメントとは


レベニューマネジメントとは、需要を予測して収益を最大化するための適切な販売管理を行うことです。

レベニューマネジメントを上手に行うと、ホテルだけでなく旅行者にとってもメリットがあります。わかりやすい例として、「空室が多い日には通常よりも安く宿泊できる」といったことなどが挙げられます。
当然、レベニューマネジメントはすべての宿泊日が対象となるため、日々継続して行っていくことが重要です。具体的には、周辺の競合施設や需要の調査等を実施しつつ、売り出している宿泊費の料金調整を毎日行なわなければなりません。レベニューマネジメント業務は施設の支配人や本部のマーケティング担当の方々が担っていることも多く、他の業務と両立させることは非常に大変なことです。また、「レベニューマネジメントは専門的な知識が必要で難しい」と感じ、敬遠されがちな面もあります。


レベニューマネジメントの重要性


一方で、レベニューマネジメントが宿泊施設に与えるインパクトは大きいのも事実です。ここで、ホテルにとってレベニューマネジメントがいかに重要かを表すクイズです。


問題

問い

・あなたのホテルは総客室数150室です。
・昨年、平均稼働率が66%、平均客室単価が5,000円でした。
・今年、平均稼働率が67%(1%上昇)、平均客室単価が5,200円(200円上昇)です。
・年間売上は昨年に比べていくら増加するでしょうか?


解説・答え

1年間の売上は、年間売上 = 平均稼働率 × 平均客室単価 × 総客室数 × 365日と計算できます。

すると、昨年と今年の売上は以下のようになります。
昨年売上 = 66% × 5,000円 × 150室 × 365日 = 約1.8億円
今年売上 = 67% × 5,200円 × 150室 × 365日 = 約1.9億円
つまり、年間売上の増加分は
約1.9億円(今年売上) – 約1.8億円(昨年売上) = 約1,000万円
となります。

よって答えは約1,000万円です。

年間の平均稼働率を1%、平均客室単価を200円上昇させると、年間売上は約1,000万円増加するのです。

アンサー

もし1,000万円売上が変わるならば、一体何ができるでしょうか。施設のリノベーション、人材採用、アメニティ強化、社員ボーナス還元など、様々なことができそうですよね。
このように小さな変化が大きな影響を及ぼすのが、レベニューマネジメントの仕事なのです。


レベニューマネジメントの基本と実践ステップがすべて分かります


何もない状態から手探りで始めるにはレベニューマネジメントは大変な業務ですが、まずは基本のやり方を抑えることが重要で、難しく考えすぎる必要はありません。むしろ、レベニューマネジメントにおいて重要なのは日々の改善サイクルを回すことです。

これからレベニューマネジメントや客室料金設定をはじめる、またはもう一度学びたいという方に向けて、レベニューマネジメントのやり方や考え方についてまとめた記事をご用意しました。これらの記事を参考に、レベニューマネジメントに取り組んでみましょう!

レベニューマネジメントの準備

・レベニューマネジメントはどうはじめる?事前に実施しておくべき準備事項
・レベニューマネジメントに競合料金は必要?競合施設の選び方を紹介
・RevPAR?ADR?レベニューマネジメントの目標やKPI設定について解説
・レベニューマネジメントにおける料金設定の上限下限や頻度の考え方

レベニューマネジメントの実践

・競合施設だけで大丈夫?料金設定で重要な調査と情報収集の方法を紹介
・ちょっと待って!本当にその日の料金変更は必要ですか?


レベニューマネジメントの振り返り

・料金設定は実施後が重要!次に活かすための思考法
・今月の料金設定は適切でしたか?料金以外にも見直すべきポイントや戦略について解説