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イタリアの成人教育機関「CPIA」訪問(2019年)

2018年視察の続きです。

イタリアはEUの中でも移民の多い国で、特に南部には沢山の人がアプローチしてくる。中にはイタリア語がわからない者も多く、その人達は就労に苦労することになる。そこでイタリアはほぼ国費(教科書代だけ受講生が負担)で、義務教育(高校生程度)までの成人教育を、それを受けられてこなかった人々に提供している。
CPIAは、教育・大学・研究省によって設立された州立学校である。この学校は、イタリア人および外国人市民に成人教育サービスおよび活動を提供しており、すべての市民の個人的、文化的、社会的、経済的成長を促進する要素と考えられている。

2018年にローマ教育庁でお勧めされた、ヴェローナ(イタリア北部のヴェネト州州都)とパレルモ(イタリア南部の島であるシチリア州州都)、カルタニセッタ(イタリア南部の島であるシチリアから車で2時間程度)のCPIAに。2019年3月から4月、訪問した。

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まず、ヴェローナのCPIAだがICTを活用した授業風景だった。受講者にイタリアを経て、最終的にはドイツに住みたい、と言っている者が居て印象的だった。イタリアはEU圏に入る取っ掛かりとなっているのだと思った。語学や歴史の他にも、自動車工場へのインターンシップなどもあるのだそうだ。

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キャンパスはいくつかの場所に分散している。今回は車で移動した。CPIAがテナントとして入っていると、移民が出入りするとして嫌がらせを受けることがあるから難しいのだそうだ。これはヴェローナが豊かな都市であるからこその課題なのだろうと思った。Morbioli氏らに送ってもらい帰路についた。

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次に、シチリアのパレルモ及びカルタニセッタのCPIAを訪問した。シチリアは火山もある島で、海と山とが両方ある。

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南国のような風景の学校には、沢山の移民の姿があった。シチリアは移民に寛容な地域と考えられる。

午前中は、シチリア州全州からマネージャーが集まる会議があり、それに同席させていただいた。交通の便が悪く、長くて3時間ほど片道かけて来る方もあったお疲れ様である。みなさんに囲まれ、ランチ。

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カルタニセッタの学校の廊下には成果物が飾られていた。言語だけではなくイタリアの文化を出身国の文化と比較しながら学ぶことが意識されているようだった。出身国の文化が尊重されているところが、何度も侵略されその融合体として深い文化が形成された自治州の由来とも照らして、シチリアらしさを感じさせた。

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午後は、急遽行うことになった私の研究に関する講演会と、その後に祝賀会が催された。祝賀会は、CPIAで調理師の資格を目指す学生達の手によって作られた色鮮やかな甘いお菓子たちでいっぱいだった。

シチリアでは、CPIAを統括しているPalumbo氏とカルタニセッタのマネージャーであるBevilacqua氏に大変お世話になった。感謝申し上げたい。

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