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「〈ラーニングフルエイジング〉プロジェクト」(帝京大着任してすぐ編)

「ラーニングフルエイジング」とは、私の造語で、学ぶあふれる人と社会を目指した言葉である。私が2014年に帝京大学へ移籍したことを期に、研究のフィールドを帝京大学の近隣である百草団地に移した。百草団地は帝京大学とほぼ隣接する地域にあり、他の団地と同様に高齢化が進んでいる。

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帝京大学の面接を受けに行った際、大学構内行きのバスに乗っている高齢の方の多さが気になった。

そこで、就職してからは、まずは授業の形をとって、アプローチを重ねた。「人間学基礎セミナーⅡ」という授業で、近隣の街の観察と称して百草団地の中央部にある百草サロンというところにアクセスした。正確に言えば、その百草ショッピングセンターを歩いていた学生が、サロンの方に呼び止められ、お茶をごちそうになっていたので、教員として迎えに行き、お話を伺ったのだった。

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そんなきっかけから、こんなに近いのに何かできないかねえという話になって、まずは哲学対話のワークショップをやってみることになった。

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それから、日本学術振興会社会技術開発センター研究開発領域「持続可能な多世代共創社会のデザイン」プロジェクト企画調査「多世代で共に創る学習プログラム開発の検討」に選ばれたことを契機に、様々なワークショップを行った。これらの経緯は論文「高齢者のノンフォーマル学習環境デザインに向けたアクションリサーチ―地域と大学との連携に着眼して―」にまとめてある。この論文には下記のような要約が付いている。

本研究は東京都日野市にある百草団地ふれあいサロンを中心に行ったアクションリサーチである.本研究の目的は,百草団地住民である高齢者の学習ニーズを明らかにし,ノンフォーマル学習環境をデザインすることである.(1)対話による学習ニーズ探索のフェーズ,(2)学習ニーズ別のワークショップ企画のフェーズ,を通じ6年に渡る実践を行った結果,(1)サロンでのノンフォーマル学習環境デザインが達成された,(2)サロンのステイクホルダーが自主的に課題を発見しワークショップデザインできるようになった,(3)サロンのステイクホルダーが地域から大学にも来訪するようになった,という成果が得られた.

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様々な実践を通じてわかったことがある。それは、高齢者には学習ニーズがあること、しかしそれは大学生のそれとは異なるものであることだった。高齢者が積極的に参加してくれた実践は、(1)健康に関するワークショップ、(2)芸術文化に関するワークショップ、だった。

そこで、私は、その後、この2つの学習を別の形で継続させていく仕組みを考えていくことになる。このことについてはまた別の記事に書きたい。

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