
カリフォルニア工科大学訪問と大学のコモンスペース
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カリフォルニア工科大学に当時お勤めだった南崎梓さんを訪ねてロサンゼルスにでかけたのが2017年8月のことである。
キャンパスを訪問して目についたのが、通路にある椅子・机の多さだった。
通路ですれ違った人が話し合える環境ができているなあと思った。
私は東京大学情報学環・福武ホールが出来たとき、学環コモンズのデザインに関わった(今はリニューアルされている)。以来、出張に行くと大学のコモンスペースを見せていただいている。
コモンズというほど大掛かりなものでなくても、椅子と机がそこかしこにあるだけで、自然と対話が生まれるような環境づくりというのができるのだと思う。イスラエルのハイファ大学でも、通路に椅子や白板が置かれており、いつでも議論が始められるようになっていた。これは物理学系の文化なのだろうか。
下記は、リニューアル前のコモンズの写真(LAYOUT 第3回「進化する大学の空間」 -安斎勇樹:学びの場のメカニズムを探る- からお借りした)である。
上記のサイトにも、下記のように書かれている。
一つひとつの教室、ラーニングコモンズ、コミュニケーションスペースを効果的な学びの場としてデザインすることは重要です。しかしそれらを単体の学びの場として個別に捉えるのではなく、それぞれを有機的に結びつけ、知が生まれ循環する生態系として大学全体をデザインする視点が、これからより重要になるでしょう。(LAYOUT 第3回「進化する大学の空間」 -安斎勇樹:学びの場のメカニズムを探る-より)
一揃えコモンズを創るのは大変でも、ちょっとした工夫で議論が生み出せる空間というのはできるのではないかと思う。
偶然弾む話といった奇跡のような瞬間は、オンラインではTwitterのようなものなのだろうか。Twitterでももうそういうことは起きない気がするので、雑談から生まれる発見、のようなものがどのようにオンラインに組み込めるのか興味がある。
帝京大学共通教育センター准教授。専門は教育学、生涯学習。学び続ける人とそれを包み込む社会に関心を持ち、研究と実践を続けている。国内外での調査、アクションリサーチ等で、特に「40歳からの学び」を積極的に支援している。HP➡https://harinezuminomori.net/