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いつもの日曜日
先日、閉店法について書いた時にも触れたが、日曜日はどこのお店も閉まっている。
私の日曜日の過ごし方。
昔は寝坊して12時になった経験もあるのに、もう歳のせいなのか、仕事に行くのと同じ時間に目が覚めてしまう。
コーヒーを飲んでから、軽いストレッチをする。
ストレッチが済んだら、パートナーと共にジョギングに行く。
私は一人で走るほうが気が楽なのだが、パートナーは私と一緒に走りたいと言う。
私は5㎞しか走らないし、パートナーと比べると遅いペースだ。
だから、パートナーは私に合わせて、5㎞だけゆっくり走ってくれる。
パートナーにとってはスローペースなので、おしゃべりが止まらない。
私は、いつもより少し速めに走っているので、しゃべる余裕など全くない。
パートナーが話しているのを聞いて、時々『うん』とか『違う』だけで返答する。
一人で走る時はiPhoneの音楽を聴くが、二人の時はパートナーが音楽代わり。
同じ景色の中を走るので、段々暖かくなるのを感じたり、木々が紅葉していくのを見て、季節の変わり目を感じる。
私とのジョギング5㎞が終わると、パートナーは一人でジョギングをスタートする。
私は先に家に帰ってシャワーを浴び、朝食の準備をする。
私は、日曜日の朝食の時間が好きだ。
土曜日は、やらなければいけないこと、買い出しや掃除、洗濯などを考えて、何だか落ち着かない。
日曜日は、朝食を食べながら色々な話をする。
そんなわけで、日曜日の朝食は、とても長い時間をかけている事が多い。
食べ終わると、お互いにニュースを見たり、本を読んだり、メールを書いたりして過ごす。
昼食を済ませると、午後は気が向くとケーキなどを焼く。
私は、ドイツのケーキよりも、日本のケーキやおやつを作ってしまうことが多い。
ドイツの物は甘すぎるし、大きすぎるし、せっかく作るのならば、自分が食べたいものを作りたいと思ってしまうからだ。
パートナーやパートナーの両親、会社のみんなは、私が作るおやつを、いちいち褒めてくれる。
私は少し浮かれて、またみんなのためにおやつを作ってしまう。
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作ったおやつは、冬の季節以外はバルコニーで食べる。
庭には、鳥やリス、時にはウサギもやってくる。
何度見かけても、私は小動物たちの登場が嬉しい。
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そして、お腹がいっぱいになると、少し動こうとお互いに言い出し、お散歩に出かける。
私は、週末のお散歩が好きだ。
自宅の近くには森があり、その森の中には、公園と小さな動物園がある。
ドイツで最古の公園の一つでもあり、動物は在来種のみを展示している。
広さは、36ヘクタール。
この広さは、東京ディズニーランドの約80%の面積に近いだろうか。
小さなお子様連れのかたや、お孫さんを連れたご年配のかたが大勢訪れる。
入場料が無料というのも、とても嬉しい。
公園に行く途中も、森の中で乗馬をしているかたとすれ違うことが多い。
公園の中には、馬のレース場もある。
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動物園と表現してしまうと、動物の種類が少ないと感じてしまうかもしれない。
アカシカや鹿、イノシシ、山猫、アライグマ、リスなど、元々この土地に住んでいたであろう動物が、一部は放し飼いで飼育されている。
園内では、餌を買って動物に与えることもできる。
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アスレチック遊具もあり、子供達にとっては楽しい場所だろう。
広大な敷地のうちの一部を、二時間ほどかけて、ゆっくりとお散歩する。
青色の美しいトンボが、池の周りにたくさん飛んでいた。
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そして、養蜂のための蜂。
写真ではよく見えないけれど、ブンブンと音を立てて、箱に出入りしている。
働き者の蜂のお陰で、美味しい蜂蜜が食べられる。
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鹿は、手の平から餌を食べるほど、人間に対して警戒心が無い。
宮島や奈良公園でたくさんの鹿を見かけたことはあるが、鹿に初めて触れたのはこの公園だった。
そして、鹿の背中は、ほんの少し硬い毛で覆われているのを知った。
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鹿の広場がお散歩の最終部分に位置するので、その優しい目を見つめて、お散歩が終わる。
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森には、ただ木があるだけだ。
そして公園は、広大な敷地を存分に使っているため、動物の姿が全く見えないことさえある。
いつ行っても檻の中の様子を観察できる動物園とは、少し違う。
でも、この森と公園には、私の求めている物があるような気がする。
森に行くと、また元気になれる。
どんなに街の中が暑くても、森の中の木陰に入ると、ヒンヤリとした空気になる。
ブナの森の中で、思わず深呼吸をしたくなる。
春も秋も、そして雪の降る冬も、いつもこの公園は、それぞれの自然の美しさを私に見せてくれる。
だから私は、この森と公園が大好きなのかもしれない。
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お散歩から戻って夜になると、パートナーは、夕飯を作るのを手伝うよと言うけれど、あまり当てにはならない。
パートナーは遊び感覚でキッチンにいるだけなのだが、いてくれると何故か料理も楽しい。
夕飯を食べ終わる時間になると、パートナーの母から電話が来たり、メッセージが来る。
大体3日置きくらいにメッセージが来るので、最初のうちは戸惑ったけれど、今はもうメッセージがないと、どうしたのかな?と思ってこちらから連絡してしまうようになった。
ご飯を食べ終わると、20時15分からはテレビでシリーズ物を見る。
これは、パートナーの父の習慣で、実家に行っても必ず一緒に見る。
テレビを見終わる前に、私は寝入ってしまうことも多いけれど、とりあえず一緒に見るように心がけている。
ベッドに入る前に、いつも思い出す言葉。
吾唯足知
この言葉を思い出すと同時に、龍安寺の『つくばい』が脳裏に浮かんでくる。
世の中には、たくさんの欲望がある。
社会的地位や、金銭的な豊かさ、何かを所有すること、何かを支配すること。
私は、社会的地位もないし、大金持ちでもないし、自慢できるものは何も所有していない。
だが、私は今の状態を、心地良い状態だと感じている。
以前持っていた欲や色々な感情は、どんどん削り取られ小さくなり、本当に自分が必要なものだけが見えてくる。
もともと私は不器用だから、色々なものを一度に手に入れる事は難しい。
日本であのまま生活をしていたら、手に入れられない物ばかりに気を取られ、自分の手の中に既にある幸せに、気付くこともなかったかもしれない。
ゆっくりと、一週間の出来事を思い返す。
誰かに助けてもらったこと、嬉しかったこと、たくさん笑ったこと、美味しかった物、何かを見て感動したこと。
良い事ばかりではないけれど、そんな事は思い出さなくてもいい。
そんな時間があるなら、私は二度、嬉しい事を思い出したい。
そして来週も、今週と同じような日々を過ごせるようにと願いながら、眠りにつく。
ジョギングとおやつ、そして森のお散歩。
その間に交わされる、たくさんの会話。
私はこれで、自分自身をリセットしているのかもしれない。
これが私の、いつもの日曜日。
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