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ベートーヴェンを毎日聴く181(2020年6月29日)

『ベートーヴェン/三重奏曲 ト長調 WoO37』を聴いた。

この作品はある貴族からの依頼で、家族で演奏するものとして作曲されたらしい。その貴族は、フリードリヒ・ルドルフ・アントン・フォン・ヴェスターホルト=ガイセンベルグ伯爵という人物である。

作品はピアノ、フルート、ファゴットによる三重奏であるが、伯爵はファゴット、息子はフルートを演奏することができたという。なのでこの二人がそれぞれの楽器を演奏をしたのであろう。

ピアノはだれが?というと、娘のマリア・アンナ・ヴィルヘルミーネがピアノを演奏できたのだが、彼女はベートーヴェンにピアノを教えてもらっていた。

マリア・アンナ・ヴィルヘルミーネという名前。どこかで見たことがあるのだが。と思って調べていたら思い出した。

「ルードウィヒ・B」

手塚治虫の絶筆作品である。

長らくしまっていたこの本を取り出し、久しぶりにページを開いたのだが、第2巻に出てきた子猫みたいに描かれている女の子。ベートーヴェンが弾くピアノの音にあこがれて弟子にしてほしいと転がり込んでくる子。そして弟子でなくてもいいから結婚して~とお熱を上げる女の子だ。

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父親のヴェスターホルト伯爵(ルートヴィヒ・Bでは男爵)も登場するのだが、音楽のことには興味がなく、位が違うベートーヴェンの元に娘を通わせてピアノを習わせるつもりはないという。これは上記のファゴットを演奏していたということとは異なるのだが。そして、後にベートーヴェンの才能に気づきウィーンへ行くというベートーヴェンに費用を負担。ウィーンへ旅立つベートーヴェンと子猫のようなマリア・アンナ・ヴィルヘルミーネはお別れすることになる。

実際、ヴィルヘルミーネはベートーヴェンのことに好意を持っていたようだ。

この曲を聴いて久しぶりに「ルードウィヒ・B」を読んだが、昨年のベートーヴェン・イヤーにすっかり忘れてしまっていたのはなぜだろう。たった2巻を残して逝ってしまった手塚治虫。もし完成していたとしたらどんな作品になっていたのであろう。


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