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ベートーヴェンを毎日聴く365-1(2020年12月30日)

『ベートーヴェン/弦楽四重奏曲 ヘ長調 Hess34』を聴いた。

この弦楽四重奏曲は、ピアノ・ソナタ第9番 ホ長調 op.14-1を編曲したもの。調性はハ長調から変えている。

編曲はベートーヴェン本人によるものだが、自ら進んで編曲したのではなく、誰かから依頼されて編曲したもの、しかも、この仕事は本人にとって全くの不本意であったらしい。

「ピアノ曲でさえ弦楽器という、あらゆる点で全く異なる楽器に合わせてしまうという、現代に蔓延っている"不自然な怪物"を、そろそろ押さえつける必要があるのではないでしょうか」

とベートーヴェンは書いている。

当時は、別の楽器で演奏させるための編曲は頻繁に行われていた。例えば交響曲を室内楽の小規模な編成にして、大人数のオーケストラを揃えなくても手軽に演奏できるようにしていた。それによって、本来の編成とは違うものの、作品は広く知られることになり、作曲家の名前も知れ渡るという効果があった。

ベートーヴェンは、この他の作品でも編曲は行っているのだが、もしかしたら「ピアノ曲を弦楽器の曲にする」ということには、楽器の質があまりにも異なるので納得していなかったのかもしれない。

編曲に関してもベートーヴェンは「作曲家本人か、本人と同じレベルの能力や創意工夫を持つものが行うべき」としている。編曲するにしても手軽にということではなく、作品の本質を理解した上で行う必要があるということだろう。

この編曲、いやいやながらも、やはり本人がキッチリ行ったことで、原曲のピアノ・ソナタとはまた違う魅力的な作品になっている。

個人的には他のピアノ・ソナタも編曲してくれていたらなぁ、と思うのであるが。

Gunhild EsserによるPixabayからの画像

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