見出し画像

ベートーヴェンを毎日聴く255(2020年9月11日)

『ベートーヴェン/ボヘミア守護隊のための行進曲第1番 WoO18』を聴いた。

ベートーヴェンにとっての重要な支援者で、ピアノ三重奏曲第7番「大公」を始め、多くの作品が捧げられたルドルフ大公。その兄であったアントン大公はドイツ騎士団長であり、ボヘミア守護隊長を務めていた。そのアントン大公に捧げられた行進曲作品。

作曲された1809年はフランス軍がウィーンを攻撃、いわゆる「ウィーン包囲」が行われ、そして占領された年。つまり、ウィーンの街にはフランス軍の砲弾が飛び交う戦争状態であり、ベートーヴェンは弟であるカールの家の地下室に逃げ込み、その砲撃の音に震えていたと言われている。

フランス軍を迎え撃つ軍隊の戦意高揚、それは前にも書いたように重要な人物の兄が率いた軍隊であるので、作曲家としては行進曲のひとつでも作らないわけにはいかなかっただろう。

作品は威勢よく軍が行進していけるような、元気が出るようなものであり、かつ強弱の変化も多くあって、行進しなくて聴くだけでも十分聴きごたえがある。

この作品の自筆譜の余白には完成しなかった交響曲第10番のスケッチの一部が記されているという。第九が完成したのが1824年。そのはるか前の1809年に交響曲第10番のことは考えていなかったと思う。行進曲の部分と筆の太さも異なるので、余白がたくさんあった、過去に作ったこの行進曲の自筆譜を引っ張り出してきて、余白に新しい交響曲のアイデアを綴っていったのだろうか。

もう想像することしかできないが、そんなベートーヴェンの様子を思い浮かべてみるのも楽しい。

以下は以前「交響曲第10番」を初めて聴いたときに書いたもの。


Peter TóthによるPixabayからの画

この記事が参加している募集

習慣にしていること

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?