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ベートーヴェンを毎日聴く299(2020年10月25日)

『ベートーヴェン/「憧れ」WoO146』を聴いた。

誰もいない静かな夜。湖畔に一人佇み、星空を見ながら思う。

静かな夜を闇が包み、星は穏やかな湖の上できらめく。
枝の自然の歌手たちは静か。神秘的な静寂は花咲く草原に佇む。
ああ、私は眠れない。私の悲しみを知ってください。安らぎの神よ。
涙を拭き甘美な喜びと私の憧れを叶えてください。喜びの夢を抱いて。
現れたのは私を捨てた美しい人。私の胸に抱かせてください。高貴な愛が輝くように!
美しい人よ、どれほど待ち望んでいることか。私の希望に微笑みを与えておくれ!

静かな作品だが、詩は結構情熱的だ。後に行くほどその熱量が増してくる。

そして、静かではあるが、その熱量に合わせて伴奏の表現も音数が多くなる。

でも、ベートーヴェンとしては静かなままである。

夜を表す作品としては「月光」を思い出す(「月光」という名称はベートーヴェンが付けたのではないのだが)。静かに始まる第1楽章から、感情がむき出しになるような第3楽章への変化。これがベートーヴェンっぽいのかもしれない。

でもこの「憧れ」のような、思いを内に秘めたまま、静かに流れていくベートーヴェンも魅力的だな、と感じる作品である。

mubasharnz5599によるPixabayからの画像

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