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【小説で涼もう!】森見登美彦 著『きつねのはなし』

こんにちは。
小さい頃から親に「こっくりさんは絶対やるな」
と言われていました、いしはらです。
最近読んだ森見登美彦さんの『きつねのはなし』。
これがとっても良かったのでお勧めさせてください。

謎の男との奇妙な取り引き
狐面の男(女)
夜道に現れる、胴の長いケモノ
水底に沈む社。そこには人魚が棲むらしい…

夢か現か…読む程に味わい深い、その魅力をご紹介します!

あらすじ(文庫本 裏面より)
「知り合いから妙なケモノをもらってね」籠の中で何かが
身じろぎする気配がした。古道具店の主から風呂敷包みを託された
青年が訪れた、天城家の奇妙な屋敷。彼はそこで魔に魅入られたのか(表題作)。通夜の夜、男たちの酒宴が始まった。やがて、先代より預かったという
”家宝”を持った女が現れて(「水神」)。闇に蟠(わだかま)るもの、おまえの名は?底知れぬ謎を秘めた古都を舞台に描く、漆黒の作品集。

■和の世界観

舞台は京都。全4話のうち冬の話・夏の話が2話ずつ程ありますが、
季節の描写が素敵!
真冬の座敷に灯る行灯や夏空に轟く雷鳴が何か起こりそうな
演出に効いています。特に夏のシーンは読んでいるだけで思わず
汗をかいてしまいそう…!
また、古道具をはじめとする和の小物の数々が風情があって
これまた素敵なのです(パソコンなどの現代的なアイテムは
ほとんど出てきません)。
そんな和の雰囲気満天な中でふっと現れる、狐面の男(女)。
背筋がぞくっとします。

■神か物の怪か…”きつね”

作中に出てくるのは狐や水神や魔、といった表現の怪異です。
それが怖いものなのか有難いものなのかははっきり分かりません。
特に昔から怪談モチーフになっている狐。
後利益があるという逸話もありますが、人に取り憑くなどの怖い話も
たくさんありますよね。
そんな二面性が容易に近づいてはいけないタブーのような
危険な感じがします。
「貞子」のような悪霊のお化けもとても怖いですし
絶対遭遇したくないですが、それとはまた別の怖さですね。
人間が首を突っ込んではいけない世界があるような
気がします、、

■考察が楽しい!語りすぎない面白さ

澤村伊智さんの「ぼぎわんが、来る」が大好きです(突然)。
家に訪ねてくる”ぼぎわん”というお化けの怪異談で、
”ぼぎわん”の語源や正体が明らかになっていくホラー小説。
その過程がとてもスリリングで面白いのです。
それとは反対の『きつねのはなし』。
数々の怪異は最後まで明かされることはありません。
怯えたりする心理描写すらほとんどありません。
この淡々と進む感じが”日常の中に潜む違和感や謎”の
怖さを増しています…!
読後に「あれはこういうことだったのかな?」と
考えたくなり、すぐさま再読したくなってしまいました。
このじわじわと迫ってくる怖さ、読後の余韻…正にジャパニーズホラー!

いかがでしたか?
読んだことのない方はぜひお手にとってみて下さい。
日本ならではの雰囲気たっぷりのホラーが味わえますよ☆

ちなみに同じく森見登美彦さんの『夜行』も気になっています。
京都に行きたい笑!

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