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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~「痩せたい」と「食べたい」のその先へ~138


「今まで、辛かったんじゃない?誰かに話したことはあったの?」

「はい、カウンセラーの先生には。結構前から通っているので。あとは妹と、友達一人には何となく話しています」

「そう。会社の人には話していないのかしら」

「そうですね、新山さんが初めてだと思います」

「そうだったのね」

お水を一口飲んだ。さっきよりは、心も身体も落ち着きを取り戻していた。

「自分の人生なんだから自分にとって大切なことや必要なことを探して大事にして生きていきたい、って私もすごくそう思うんです。だけど、なかなかそううまくはいかなくて……始めのうちは、ただただ痩せればいい、痩せ続ければそれでいい、みたいに思ってました。でも実際に自分が痩せても幸せではなかったし、何もかもがうまくいく訳でもなかったし、どんなに痩せてもその先には何もなかったんです。何も待ってはいなかった……私にとって大切なことや必要なことって、痩せることじゃないんだ、っていうことが何年も経ってからやっとわかってきた、っていうか。そんな感じなんです」

喉がカラカラに乾いていた。コップのお水を一気に飲み干した。


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