思考を広げるメタ・ノートのススメ
はじめに
Twitterで情報発信していると、自分の思考がどんどんストックされていきます。そのストックのおかげで、たくさんの「自分の言葉」を持つことができました。「これが普段やっていることのほとんどすべて」なので、リーダーとしても、チームのメンバーに想いを伝えやすいです。
ただ、ストックといっても、どんどんタイムラインに流れていく自分のツイートをあとで探すのは大変です。そこで、自分が何をツイートしたかをすぐ探せるよう、思考に関するツイートのみスプレッドシートに転記するようにしています。いまのところ600行ほど。隣のシートには、まだ形になっていないメモのようなものが、同じぐらいあります。
「デザイン」とか「フィードバック」とか「研修」など、ツイートでよく使う言葉で検索かけると簡単に共通点を見つけることができ、自分の思考をまとめたり、再構築したり、自己矛盾に気づいたりします。そうすると、そこからさらに発信していく可能性を感じるのです。今回は、ツイートをnoteへ転地させるメタ・ノートについて書いてみます。
メタ・ノートとは
メモのアイデアをノートへ、さらに別のノートに移すことを、常に傍らに置いている外山滋比古さんの著書『思考の整理学』では「メタ・ノート」と表現しています。もとの前後関係から外すことで新しいコンテクストが作られ、コンテクストが変われば意味は変化していく。新しいところへ転地させるとそのアイデアはいっそう活発になる可能性がある、ということです。
転地の実践
スプレッドシートへの転記は、最初はただ「振り返り」のために行っていましたが、読み返してみるとツイートとツイートが結びついて新しい文脈につながったり、この思考は今はこういう風に変わったな…などと気づくのです。それを少し表現を変えてみたり、似たようなツイートを集合させてまとめ記事でモーメントに化するなど、あらたな情報価値を持って再び表に出すことができます。
最近、僕が取り組んでいることは次の通りです。
具体的に実践したnoteの例です。以下の記事は、ツイートのテーマが同じものをかき集めただけ。これは「新しいコンテクスト」というほどではないかもしれませんが、編集したので多少は変形しています。読み手はこれまで断片的だった情報をまとめてみることができるので、なんらかの手段でクリップしてくれる可能性も高まります。
次のnoteは、転記したシートを眺めていたら「デザイン脳を鍛える方法」というテーマで書けるのではないか?という着想が生まれ、関連するツイートを中心に抽出し、編集した記事です。
いきなりこのテーマで書け、といったら頭を抱えるでしょうし、かなり時間がかかるはず。そもそも、ストックしていたからこそこういうテーマで書く、というきっかけが生まれたわけですが。
醗酵が大事
「しばらく頭から離す」と書きましたが、『思考の整理学』では、
・材料だけではダメ。
・アイデア(酵素)を加えることが必要。
・醗酵させるために“寝させる”、“しばらく忘れる”ことが大事。
と書かれています。なるほど。寝かせている間に、思考が大きくなったり消えたりする。そして、醗酵のタイミングがわかってくる。考えが、向こうからやってくる。
僕にはまだそこまでの見当はつかないけど、繰り返し続けていくことで、なにかが見えてくるかもしれません。がんばろう。
まとめ
メタ・ノートを経てアイデアを転地させることで、自分の思考が広がっているのを実感しています。結果的に、自分の中で厳選されたとても重要なもの、と位置づけられるのです。新しいテーマが生まれてきたら、いまは埋もれているネタが「脈あり!」として再浮上する可能性もでてきますね。
ツイートを抽出して転地させる、ということ自体は難しくありません。それをnoteやブログなどに展開することで新しいコンテクストを作り出し、自分の思考が知的生産物となって定着するのはもちろん、多くの人に届けるコンテンツに発展させることもできます。デザインでもいえますが、思考を整理することで次の道が見えてきたり、あえて崩す方法が見えてきたりするものです。
外山さんの文章からは「時間軸」みたいなものが感じられて、そこを意識したい。メタ・ノートな思考の訓練を続け、日々の仕事や生活の中で思考が醗酵していくようなものがひとつでもできたらいいなと思いました。
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