夏野菜で作るさっぱりペルー風中華、ロモ・サルタード。
日本で「中華料理」が食の一大勢力として独自の発展を遂げたように、世界各地に散らばった中国の人々はそれぞれの地で現地の食文化と交流し、新たな中国料理のバリエーションを生み出してきている。
と、いうのをちょっと前の「タモリ倶楽部」でもやってた。へえー、中国の人ってたくましいよなあと感心しながら、自分の知らない異国の中国料理、ぜひ作って食べてみたいなあとうずうずした。
またこないだアメリカ風手抜きごはんで一夜しのいだときに、日本で夏野菜と呼ばれるものってその多くが中南米原産なんだなあという気づきがあった。トマト、ピーマンとかね。
うちには今、両方の実家から支援物資としてお裾分けされてきた大量の夏野菜たちがひしめいて、台所のシンクの周りでうわんうわんしている。これらを飽きずに毎日せっせと食べるためには料理のレパートリーを増やさねばならない。いっちょ異国中華に挑もうと決意した。
でも、ペルーには行ったことがないのよね。
今回挑むのは「ロモ・サルタード」なるペルー中華。直訳すると「牛肉炒め」らしい。ググると大量にレシピが見つかるので、それらを例によって斜め読みして大まかなエッセンスを把握し、我流で再現してみることにした。
いかんせん、ペルーには行ったことがない。正確にはリマ空港の内部には乗り継ぎで数時間滞在し、そこでごはんも食べたが、たぶんハンバーガーやホットドッグ的な軽食だけだった気がする。したがって件のロモ・サルタードを食べたことがない。
なのでこれから作るものが現地の料理とどれだけ似ているか、あるいはかけ離れているかは自分の舌で調べようもない。いいのかそれで、と思ってしまうが好奇心には勝てず作り始めちゃった。
でもまあ南米に旅したことはあるのでなんとなくこういう味が南米っぽい、というイメージのようなものはある、気がする。大丈夫よ、たぶん。
分量はだいたい以下のとおり。
<妄想ロモ・サルタード>
大人ふたりでつつく一皿分
牛肉・・・150gぐらい?
トマト・・・大1個
ジャガイモ・・・中2個
玉ねぎ・・・半分
ピーマン・・・2〜3個
おろしニンニク・・・ひとかけ
クミン、オレガノ・・・パラパラ
醤油・・・大さじ1
レモン汁・・・ひと振り
塩コショウ・・・適宜
砂糖・・・お好みで(小さじ1程度)
まずはフライドポテトを用意します。
のっけから意外な展開なんだけど、イモを揚げます。皮を剥いたジャガイモをカリッとフライドポテトにしておく。
もうこのまま食べたいので1、2本つまみ、あとはグッと我慢する。
牛肉にはエスニックな下味を。
牛肉には、塩コショウ、醤油ちょびっと(分量外)の他におろしニンニク、クミンをもみ込んでおく。うちにはホールのクミンシードしかないので乾煎りしてすり鉢でつぶした。だいたい20〜30粒ぐらいかなあ。
ほんとうはステーキ肉みたいに厚みのあるお肉を拍子木切りにして使うみたいだけどうちにはお金がないので切り落としで代用。こうしてオリジナルから少しずつ遠ざかってゆく。
あとは順々に炒めていくだけ。
あくまで中華なので中華鍋に油を熱し、牛肉を炒めたところに玉ねぎ、トマトを加え、醤油とレモン汁を回し入れて、トマトが煮崩れるまで炒め煮に。ペルーでも醤油はあるらしいです。おもしろー。
ピーマン系はあまり早くから煮ると色が悪くなっちゃうので少しタイムラグを置いて投入。思い出したようにオレガノもパッパ、と振っておく。
このへんで味見。なんかレモン振りすぎて酸っぱ。ちょっと弱火で酸味を飛ばしつつ、隠し味にお砂糖小さじ1弱で様子を見る。
ポテトをからめて、できあがり。
盛りつける1分前ぐらいにフライドポテトを入れ、強火でわっしゃーと煮汁をからめたらできあがり。さっぱりペルー風中華、その出来栄えは?
おおおお、これうまいぞー。好きー。
と単純な言葉が口をついて出る。別段たくさんのスパイスを加えたわけでもないのに、意外にも、醤油味がベースとは思えないほど異国情緒が出た。とりわけクミンがいい仕事してる。事前に肉にもみ込むなんて使いみちもあるんだなあ。酸味もほどよい程度におさまって、食が進む。
ジャガイモは不思議な食感。ストレートにいうと、汁を吸ったフライドポテト以上の何者でもない。だけどイヤじゃない。煮崩れずにホクホクになるからいいアイデアなのかも。
現地ではインディカ米のごはんを添えてカレーライス的に食すことも多いみたい。それもアリだと思った。
一度目の挑戦なのに案外うまくいったので拍子抜け。でもこれがロモ・サルタードの真価なのかどうかはわからないのよね。個人的にはおいしいと思ったけど。
夏野菜をたくさん食べられるペルー風中華、本場の味をいつか知りたいなあ。自分が作ったものと違いすぎて愕然とするんだろうな。
ちなみに妻の評価は、5段階で3、ぐらいのリアクションでした。可もなく不可もなく、といったところ。セーフ。
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