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映画『花束みたいな恋をした』の余韻がすごい。

先日ひさしぶりにひとり映画をしてきた。
選んだ作品は『花束みたいな恋をした』。

ちなみにこれを観に行く前日まで
Amazonプライムビデオで『カルテット』にドハマり。
そして『花束みたいな恋をした』の作品について調べていたら
ふた作品とも
脚本家・坂元裕二先生 土井裕泰監督のタッグ作品
と知りこれはもう観るしかないと鑑賞大決定の経緯がある。笑

(これも奥深くて面白いからおすすめ…。)

観た感想をシンプルに申し上げると

観に行ってよかった。とてもよかった。

…いや、「よかった~」のひとことを軽々しく言いたくなくなるくらいには
上映時間124分の間にいろーんな感情になったわけで。
そのいろんな感情になれたから観てよかったと思える理由。

自身を取り巻く環境の変化とともに
価値観や恋人との関係も変化していく
20代のリアルな恋がぎゅっと描かれていたような気がした。

加えて描写や登場人物の語り方(ナレーションの部分)
ストーリーの展開もわたし的にツボにはまって
ここ最近ではかなりのインパクトのある作品になった。

じぶんの中に留めておけないから 笑
個人的な考察や感想を映画レビューとしてMemoしていく~。

あらすじはここでは割愛。
主人公は麦くん(菅田将暉)と絹ちゃん(有村架純)
ふたりの恋のはじまりから終わりまでの5年間の日々を描いた物語。

胸の奥がくすぐったい恋の発芽期

恋のはじまりはいつも少しくすぐったくてあたたかい。
偶然出会ったひとと 偶然趣味や話が合って
「また会いたい また話したい」
そう思って 偶然相手もそう思っていることがわかって。
会えない間もその人のことを考えたり
いっしょに過ごした時間を反芻して少し笑ったり。

「もったいない、今話しかけないで。まだ昨日の余韻の中にいたいんだよ、上書きされたくない。こんな時に聴ける曲があればいいのに。」

わかるなあ、なんて思って小さく頷いた女子も多いでしょう。
ここのシーンリアルで好きだったなあ。

周りの人にあまり共感されたことがないことや
いままで人に言わずに自分の中で大切にしていた価値観を
共感してもらったときの『運命の人と出会った感』は否めない。
ましてやお互いがそう思っていたら急速に距離は縮まり
まるで決まっていたことかのように恋に落ちることでしょう。
しかしそう思っているのは当人たちだけ
というのも『運命の恋』のお決まりで。
麦くんと絹ちゃんもそうだったと思う。

”現状維持”に対する価値観

わたし的に印象的だった”現状維持”というセリフ。意味深だなあと思った。

絹ちゃんは恋愛に対して『いつしか終わるもの』『その時を楽しむもの』
という価値観を持っていて。現状を維持するものではない
絹ちゃんが愛読していたブログにもこんな一文があって絹ちゃんはそれに共感しているんだよね。(わたしもけっこう共感する)

恋愛はパーティーのようにいつしか終わる。だから恋する者たちは好きななものを持ち寄ってテーブルを挟み、お喋りをし、その切なさを楽しむしかないのだ。

とはいえ大好きな恋人と終わりを迎えることは望まないしできることならこの幸せが続けばいいな と思っていただろう。

一方で麦くんは自分が社会人になると決めて就活をはじめるとき
いまの生活・関係が変わってしまうんじゃないかと不安そうにする絹ちゃんに対して麦くんは
安心させるように笑いかけながらこう言う。

僕の人生の目標は、絹ちゃんとの現状維持です。

この目標設定が良い悪いは個々の感じ方があるとして
目標とは達成できたりできなかったりするものなことはたしかで。
人生の目標に”現状維持”を掲げるということは
それ以上のことは(無意識にも)望んでいないということだし
目標に到達できなかった場合 現状維持未満=破局 となってしまう。

さらにお互いの思う”現状”にギャップがある場合には
その維持する努力も無意味で
気づいたときには全く違う色の花をお互い大事にしている結末となってしまう。とわたしは思う。

ライフイベントによるすれ違い

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麦くんの就職によってふたりの生活も変化していった。
ふたりで映画を観ることも 本の感想で盛り上がることも
コーヒー片手に駅からの長い道をふたりで歩くこともなくなった。
麦くんにとってはそれは悪気があることではなく
むしろ「ふたりの未来(=結婚)」に進んでいると思っていて。

でも絹ちゃんは結婚よりも
共通の趣味で楽しみたい スキンシップを多めにとりたい
好きなことをして生きていたいし麦くんにもそうして生きててほしい。と望んでいて。

そんなふたりの
お互いへの想い 生き方に対する価値観は
どんどんギャップが生まれていく。

就職・転職・独立・結婚・出産…
人生にはたくさんのライフイベントがある。
そのたびに大小さまざまであれ 周りの環境は変わっていく。
新しい出会いと発見で価値観が変わっていくこともある。
良い変化であれば 変わっていくことは良いこと。
それでも一緒にいたいと思う相手ならば
大切なものは見失わないように日々自分に語り掛け
相手に寄り添おうとすることは必要なんだと思う。

『花束みたいな恋』とは

運命的な出会いも 度重なる偶然も 驚くほどのシンクロニシティも
そのすべてが恋愛あるあるで 何も特別なことなんてない。とわたしは思う。

運命に導かれて出会えた人と
お互いずっと思いやって 理解をしようと思えるか。
心地よく寄り添っていたいとお互い思えるか。

麦くんと絹ちゃんの恋は『花束みたいな恋』
はじめがいちばん美しく、価値があり、
現状維持しようとその場から動かさずに。
水もあげれずいつの間にか枯れていった。

ただ、ふたりの恋は最後まで綺麗で
ふたりの別れは羨ましくなるくらいに穏やかに描かれていた。
枯れてしまってからも綺麗な思い出としてお互いの心に記憶されたんだろう。

この作品は20代男女の生き方をそれぞれの視点から描かれていて
シンプルにリアルさが伝わる映画でもあるし
どんなに運命的な出会いでもいつかは終わりがきてしまうこともある。
でもすれ違いに気づいて相手を大切に想うことができれば
枯らさずに長く咲かせ続けられるかもしれないと伝える映画でもあると感じた。

この映画に過去の恋愛・または現在の恋愛を重ねて
胸をおさえる人もいれば
この映画をヒントにいまの大切な人との関わり方を
見直す人もいるだろうし
冷静に主人公たちを分析して楽しんでいる人もいて
観る世代 経験値 立場によっていろんな感じ方ができる作品だと思う。

***追記***

2021年の12月にクリスマスプレゼントではな恋のBlu-ray(豪華版)をゲット。

すでに映画館、U-NEXTを含め5回は観ている作品。

何度観ても感傷に浸ってしまうし、現在の日常を大切にしようと思える。

みなさんもぜひ観てほしい!


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