大桟橋
大きな旅客船が、青い海に、白い線をひきながら、ゆっくり進みはじめる。
吹きつける海風が、『ビュー、ビュー』と、哀しい音を鳴らしては、出ていく船の後ろ姿を、せつなくさせる。
船のまわりを、飛び交う白いカモメたちは、汽笛の音とともに、青い空に消えていく。
耳をすますと、波の音に混ざって、どこか遠くから、別れを惜しむ人たちの声が、聞こえてくる。
沖から、だいぶ遠くへ進んだ船が、最後のあいさつ( 汽笛)を鳴らすと、桟橋の人たちも、最後のわかれの言葉を投げかけていた。
船の姿が小さく、ボンヤリとしか、見えなくなったころには、桟橋には、人の姿も、まばらになり、静かな海だけが、広がってみえた。
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