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『まく子』 西加奈子 2016年 思春期の不安と宇宙の真実


白いお猿さんの絵に『まく子』、裏は白いブサイクな犬。



小説を読み終わって知ったのですが、
この表紙の絵は西加奈子さんの直筆だそうです。


なんで、この本読もうと思ったんだっけ?

積読|《つんど》かれました。


まくことが好きなのは、男だけだと思っていた。

と冒頭書かれているのだが、「まくこと」がピンとこない元女子の私。
(今は、畑に種まくの楽しみです。)


ぼくらは、11歳だ。
「せいきょういく」というやつはもう受けた。

8行目にこう書かれていて、
半年後に11歳になる娘を持つ母親として、11歳の僕の話が俄然気になりだします。

とっても読みやすい文章で、
思春期の母親でなくても、
思春期を経験した元男子も元女子も引き込まれる小説です。


体の変化に男子がこんなに苦悩しているとは知りませんでした。

「せいきょういく」受けてもよくわかりませんよね。
自分の身体だけ変なのではないのか。
と思うことありますよね。


やはり思春期突入の娘を持つ母親として
この小説を読んでよかった。


でも、この小説、

思春期突入男子の苦悩と不安が書かれているだけではないのです。


本当のことが書かれていて、

驚きました。


「慧も、粒でできてるんだよ。」(慧=主人公男子の名)
「慧や地球上のものは、その粒を与え合いながら生きている。変化する粒を、それぞれ与え合いながら。」
「慧を作っている粒たちは、ずっと変わり続けるんだよ。」
「今慧を作っている粒は、いつかすべて入れ替わるの。」


これを話しているのは、
突然、自分は宇宙人だ。
慧も地球人という宇宙人だよ
と言い出した同じクラスの女の子。


人間もすべてのものも粒でできているというのは、
最近の量子力学で明らかになってきましたね。


白いシャツにぴたぴたの白いズボン、
大きな大人用の上靴を履いて

「驚かないでほしい。」
「私は君の未来だ。」

と子どもたちに言い続けるおじさんが
登場した時も、私は驚かなかった。


小学生だったら、
驚くと思うし、キモいと思ったと思うけれど、

今の私は、
「まあ、そうだね」
「一理ある」
「そうともいう」
と思いながら読んでいました。

ミライはなんで未来から来たと思っているのだろう。

と書かれているけれど、

そうではなくて、

みんな粒でその粒が入れ替わっているから

君と僕は変わりない。

という意味で私は捉えた。



私の中で

諸行無常
無我
ワンネス
時間はない

が当たり前になっているからだ。


お釈迦様が2500年前に語っていたことが、
今、量子力学で証明され始めているそうです。


小説の最後、
主人公の男子が住む集落の大人も子どもも
不思議体験をします。

それもある意味ワンネスだからの体験。

あと、すべて粒だからで説明できちゃう。


これをファンタジー小説として多くの人に届けられる西加奈子が羨ましい。



#まく子 #西加奈子  

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