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冬の日の 主なき家の 蜜柑かな

近所の八十半ばのおばあさん。家の雨戸がしまったままです。
庭のかたすみの蜜柑を、ときどきくれました。

七十二候の【橘始黄】に入ります。
「たちばなはじめてきばむ」と読みます。
(一日遅れの発行です。すみません)
一年を72に分ける七十二候の60番目です。二十四節気[小雪]の末候になります。橘の実が黄色く色づきはじめるころ。12月6日まで。

橘始黄 Tachibana hajimete kibamu
“Tachibana citrus tree leaves start to turn yellow”
〔citrus;柑橘類の〕 December 2-6

橘は、古くから日本に自生していたミカン科の常緑の木です。国内の柑橘系で唯一の野性種です。実は小さく、酸味が強く、生食にはむきません。しかし、冬でも葉があおあおとして黄色い実をつけることから、枯れることを知らない永遠をあらわすものとして、よろこばれてきました。

京都御所の紫宸殿の前庭に左近の桜、右近の橘が植えられています。左近は紫宸殿の東側(階・きざはし、から見て左側)、右近は西側になります。紫宸殿の儀式では公家たちが整列するときの目印になりました。

〔日本書紀・古事記から〕田道間守(たじまもり)は垂仁天皇の命で常世国(とこよのくに・長生不死の国)に非時香菓(ときじくのかくのこのみ・橘)を求めて渡りました。持ち帰ったときにすでに天皇は崩御されており、それを嘆き悲しんで死んだという話が伝えられています。

庭畑打つ手を休め
蜜柑もぐ
媼(おうな)の笑顔
今いずこにか

琵琶湖のほとりの草庵にて
時を生きる旅人
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