自己紹介②(難病を抱えながら医師になる)
養生について
東洋医学では、病気を治すために生活習慣を整えることも大切です。
食事・運動・睡眠はもちろんですが、カフェインの摂取を減らしたり、体質に合わない食べ物は避けることもあります。
極度の冷え性だった私は、冷たいものは可能な限り控えるようにしました。
また、少しずつ散歩するなど、軽い運動も取り入れました。
東京の大学に通っていたため、頻回に奈良県に治療に行くことができません。その代わりに、養生の1つとして、指示されたツボに毎日お灸を続けていました。
体を根本的に整えるためには、継続して取り組むことが必要です。
この薬を飲んだら治る、というものではなくコツコツと体に向き合うと、必ず体は答えてくれます。
東洋医学の治療を始めた結果
鍼治療と漢方薬を開始し、半年ほど経過した頃から、検査数値が上がらなくなりました。また、皮膚に水疱が出来ることも徐々に減ってきました。
初めて検査数値が上がらなかった時、心配していた家族とともに喜び合いました。医師にとってみたら1回1回の検査で大喜びするのは、少々気が早いのかもしれません。でも、患者としては何より嬉しいことでした。
体調が安定するとともに
ゆっくりとステロイドの内服量を減らすことができました。
以前と異なり、ステロイドを減らしても症状が再燃することが少なく、
体の体質が確実に変わっていることを実感しました。
次第に勉強したくなる
「心と体に作用する鍼治療や漢方薬を勉強したい」
そんな気持ちがムクムクと湧いてきます。
鍼灸院には、勉強熱心な先生方はもちろんのこと、医師も学びにきていました。その様子をじっと見ていた私は、師匠に「私も勉強したいので教えてください」と申し出ます。しかし、残念ながら、「まずは患者になりきりなさい」と言われました。
やる気満々だった私はガックリ。「勉強したい、勉強したい」と思いながら、大人しく鍼治療を受けることに専念しました。
しかし、
「患者になりきりなさい」とおっしゃった師匠の心がわかったのは
医学部を卒業し医師になってからです。
患者の気持ちを感じきり、
行き場のない不安感や悲しみを経験した時間が、
医師になってからの宝になりました。
医師になる
家族のサポートを借りながら、ステロイドを飲み続け、
なんとか医師国家試験に合格しました。
一時期は、幼稚園からの夢だった小児科医になることも
諦めなければいけないのかと絶望したことも。
発症当初は、そもそも医学部を卒業できるかどうかも怪しい状況でした。
試験勉強中は、ストレスもかかり体調に波があったことも。
それでも、大きな再発がなく過ごせたのは、東洋医学のおかげです。
難病と付き合いながら医師になることができたこと。
辛い経験だったけれど、患者としての経験が医師人生の何よりの財産になりました。「病気はバランスの乱れ」と知ったことで、病気の捉え方が変わりました。「まだできることがある」ということは患者にとって生きる希望になりました。
自身を助けてくれた漢方薬と鍼灸に感謝すると共に「東洋医学の力を使って恩返しがしたい」と思い始めます。
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