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派遣社員として働くデメリットはこれだ!

前回は派遣社員という働き方について、従来メリットと言われていることに対する意見を書きました。今回は、はっきりとデメリットと言えることについて書きたいと思います。

① 不安定な雇用

1.派遣先企業と派遣会社の力関係

多くの方はご存じだと思いますが、派遣社員と派遣先企業に雇用関係はありません。派遣先企業の契約先は派遣会社で、派遣社員はその派遣会社と雇用契約を締結します。派遣会社は依頼元企業(派遣先企業)に特定のスキルを持った労働力を提供することで商売をしているのです。

言い換えれば、派遣会社が派遣する人材は、依頼元企業が求める要件を満たせば”誰でもいい”のです。当然、派遣会社としてはリピーターを獲得したいので、ベターな人材を提供する努力をしますが、決して一球入魂ではありません。

こうした関係がある以上、仮に依頼元企業から「この人は問題がある。替えてもらいたい。」と言われたら断る理由はありません。派遣会社は大手に絞っても数社あります。仮に断れば「じゃあ別の派遣会社にお願いします。」と言われるのが関の山です。


2.派遣会社の営業担当は機能しない

そんな関係なので、派遣社員から派遣会社に「派遣先企業に対する要望」的なことを言っても、ほとんど意味がありません。

派遣社員として働くと、定期的に派遣会社の営業担当が面談に来てくれます。建前としては「何か困っていることはありますか?」なんて聞かれますが、よっぽどのことがない限り親身になってはくれません。

私は派遣社員時代に(さほど大きな不満はなかったのですが)、試しに、

「毎日16時から1時間くらいやることがなくて暇なんですよね。」

と、ちょっとした不満を言ってみました。すると、、、

「それは社員の人に『何かやることありますか?』と言ってみるといいと思います。」

という、「そりゃそうだろ」的な返事をもらったことがあります。

逆に正社員になってから、ある事情で短期的に派遣社員さんを採用することになり、これまたとある事情で派遣社員さんから不満が出てしまいました。しかし、派遣会社の営業担当の方は私に対して、

「契約上は〇〇様(私)のおっしゃる通りなので、あくまで『できれば』という前提で・・・」

と、ものすごく申し訳なさそうに改善要望を伝えてきました。

その件は、こちらは契約通りの仕事をお願いしていて、(私目線では)派遣社員さんの不満の内容に問題があったので、そのような対応だったというのもありますが、それを加味しても、えらく腰が低かったことを覚えています。


3.第三者が関与しない上下関係

大企業の場合は、派遣社員の採用時に人事部門が関与します。組織規模が大きくなるほど、備品、情報セキュリティ、人員、予算など、様々な”管理”をしっかりやるので、派遣社員の出入りもチェックします。この場合、社員と派遣社員の間に多少のイザコザがあったとしても、第三者の目線が入るので、トラブルは起こりづらいものです。

例えば、社員が理不尽な理由で「この派遣、クビにしてやる!」なんて思ったとしても、その事情を、まず自社の人事部門に言わないといけないので、これが実質的な抑止力になります。

しかし、中小企業はそうではありません。派遣社員を採用するのに、現場社員だけが関与して、第三者がほぼ関与しないことも少なくありません。コミュニケーションが1対1になり、その関係性が外部から見えなくなってしまうのです。

こうなると、社員と派遣社員の力関係は圧倒的です。社員は派遣会社に一声かければ、派遣社員をクビにできるのです。

これまで書いてきた記事では割愛してきましたが、実は私も最初の派遣先で働く、”さらに前”に一度、派遣社員としてクビにされてます。

それは中堅アパレル会社への派遣でした。当時は事務経験がなくExcelやパワポを十分に使えなかったのですが、派遣先の担当社員も派遣会社を利用したことがなかったらしく、求人の応募要件に「事務経験必須」とか「Excel:Vlookupなどが使える」などを入れてませんでした。

働き始めると、仕事に付いていけず、社員からは「のろま」とか「間が抜けてるよね」など、パワハラっぽいことを言われました。その上、わずか1ヶ月で「契約延長なし=クビ」になったのです。


② 社会的信用

1.職業欄に書きづらい

やはり20代後半に差し掛かって派遣社員として働いていると、段々と世間の視線が気になるようになります。当然、子育て等の理由で敢えて派遣を選んでいる場合や、一部の高時給(4000円とか)で働く人など、例外はあると思いますが。

派遣社員だった時代に、財布を拾って交番に届けたことがありました。
あれは不思議なもので、届けただけなのに「職業」を聞かれるんですよね。

「フリーターです。」

と言うと、わずか一瞬の”間”が空いて

「・・・『フリーター』ですね。。」

と私と警察官の間に気まずい空気が漂ったことを覚えています。


2.転職コーディネーターの対応の違い

これは派遣社員としてではなく、アルバイト時代の話ですが。
私はアルバイト時代に、正社員の求人にもエントリーしていました。その時代に、大手の転職エージェント会社にも何社か登録しました。また、正社員になってからも2回転職をしていますが、そこでも転職エージェントのお世話になっています。

アルバイト時代と正社員時代で、転職エージェント側の対応は、まったく違いました。

アルバイト時代に転職エージェントに登録したとき、オフィスに行きコーディネーターと面談をしました。私は、最初に働いた制作会社を数か月で退職しているのですが、コーディネーターは履歴書を見て、

「辛かったのはわかりますが、辞めないでもよかったと思いますけどね。」

と、なじるようなことを言ってきたのです。
目を見ることもなく、思いやりの欠片もない表情でした。

では、正社員になってからの転職ではどうでしょう。

彼らは同じ人物(私)に対して、

「ぜひ、一度お話を聞かせてください。」
「あなたのすばらしいスキルを求めている会社を紹介できます。」

と、必死の営業をかけてきます。

彼らのビジネスは、転職を成立させて初めてフィーが発生します。なので、転職が成立しづらい(スキルが低い)人材は決して優良顧客ではありません。逆に、一度転職経験がある人は、また転職が成立する可能性が高いので、彼らにとっては”おいしい”のでしょう。


③ 教育の機会が乏しい

多分、どんな大企業でも受け入れた派遣社員に研修を受けさせてあげる会社はないと思います(自社の情報管理を目的とした研修は別として)。派遣社員はtemp(一時的)であることが前提なので、費用をかけて成長させようという発想はありません。

派遣会社は自社に所属する派遣社員に対して、研修を用意しています。これも派遣法改正で義務化されたらしいですが。ところがその内容というのはビジネスマナーやOfficeソフトなど、あくまでも”派遣社員としてうまいこと働くため”の研修なのです。

決して、正社員にステップアップするための研究はありません。

それもそのはず。派遣会社は優秀な派遣社員は自社で抱えておきたいと考えており、正直ベースでは他社で正社員になられては困るのです。

だから、派遣社員が本気でスキルアップをしようと思えば、他人に頼ることはできません。

さて、今回は派遣社員として働くデメリットについて書いてきました。派遣社員として働いている方や、派遣社員を採用する方々のお役に立てばと思います。

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