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貧困と金持ちのモザイク画!辛いよ、大企業で働く派遣社員の憂鬱!

私は25歳まで深夜のコンビニでアルバイトをして生計をたて、27歳で大手広告代理店の派遣社員になりました。その後、運よく相性の良い上司と巡り合い、その会社で正社員として登用してもらいました。今回はその経験を基に、大企業で派遣社員として働くことの大変さをテーマに書きたいと思います。

①給料(手取り)はどのくらい違うの?

私は派遣社員として2つの派遣元・派遣先、正社員として従業員数1,000名以上の上場企業にも2社、在籍していた経験があるので、いずれの給与レンジも体感を持って理解しています。

まず、派遣社員ですが、通常の事務であれば時給は1,500円~1,800円が一般的です。労働時間8h×月20日出勤計算で、年収は約300万円。最近は交通費が支給されますが、私が派遣社員として働いていた時代は自費だったため、それらを差し引いた実質的な手取りは月16万円程度でした。

次に大企業の正社員。こちらは当然ながら、役職や職種によって異なります。が、30歳で550万円程度、40歳になると700万円程度が一般的でしょう。少なくとも私が在籍した企業は、名目上は実力主義ですが、内実はやはり年功序列的な色が強かったです。

ちなみに、転職活動を通して十数社の人事制度を聞きましたが、役割や目標達成度で評価され、ある程度のクラスになると専門職と管理職に分かれる、といった格好で、どこも同じような制度でした。(大手には人事系のコンサルが入り、同じような制度を布教しているのでしょう)

仮に年収550万円、(賞与の計算が面倒なので)年俸制で働いているとしましょう。すると、毎月の手取りは35万円程度になります。これは派遣社員の手取りの2倍以上です。
当然ですが、会社内にはそれよりも高い給料をもらっている人たちがたくさんいます。管理職となれば年収800万円~1,000万円、取締役ともなれば数千万円です。

恐ろしいのは、こうした人たちが年収300万円の人たちと「しれっと」同じ場所で働いていることです。

②不幸とは「他人との比較」から起こる!

かつて”世界一幸福な国”と称されたブータンはスマートフォンの普及により、幸福度ランキングが急落したと言います。ランキング上位に位置していたころ、同国の経済状況は恵まれた状況とは言い難かったでしょう。しかし、当時は比較対象にアクセスする手段がありませんでした。スマホの普及以降、画面を通して発展した経済下で人生を謳歌している(かのようにみえる)他国の人たちを目にするようになりました。それにより幸福の実感が失われてしまったのです。多くの場合、幸・不幸というのは、絶対的なものではなく、相対的、すなわち「他人との比較」で感じるものです。

良くない言葉でしょうが、経済的に恵まれない人たちが集まる場所は「スラム街」などと呼ばれます。私は自分が貧乏だったころ、「スラム街の人たちはまだマシなのでは?」と本気で思っていました。なぜなら、同じような境遇の人たちが集まり、(スラム街のなかでは)少ない格差のなかで生活ができるからです。

③右に年収300万円、左に年収1,000万円

大企業のオフィスでは、経済的に恵まれている人たちと、そうでない人たちが混然となって働いています。右で働く派遣社員は年収300万円、左で働く部長は年収1,000万円、ということが当たり前のように起こるのです。
そしてそれが一見して有機的に機能している。俯瞰で見ると1枚の絵、近くでみると色が違う。まるでモザイク画です。

派遣社員だったころ、「俺の前でその話はしてくれるな!」という話がありました。それは「賞与」です。特に会社の業績に応じて支給される決算賞与の時期、正社員の人たちの間では、「今年は2か月分!?多いね!」とか「今年は一律で〇万円らしいよ・・・」など、賞与に関する雑談が飛び交います。しかし、その会話に派遣社員が入ることはありません。

また、ちょっとした会話でもかみ合わないことがあります。派遣先の広告代理店で、グループリーダーと「晩メシにラーメンを食べた」話をしたところ、

「ラーメンなんて晩御飯に食べないよ、ハハハ!」

と笑われました。いかに大企業でも晩御飯にラーメンを食べる人はたくさんいるので、これはその人独特の考えだったということが、今ならわかります。しかし、当時は「お金持ちは晩メシにラーメンを食わないのか・・・」と大きなショックを受けました。

そして、そうしたショックを受ける度、私は心の中で、

「絶対に逆転してやる!」

と心に誓ったのでした。

④格差が見えない日本

日本では経済格差がパッと見でわかりません。若者たちはファストファッションに身を包み、誰も彼もがスマホを眺めているので、それなりに楽しそうに見えます。

でも、格差は絶対にあります。

人間は欲深いもので、金銭欲が満たされると今度は次の欲がでてきます。また、頑張って稼いだという実感があるお金ほど「誰にも渡してたまるか!」と、ケチな気持ちになります。
だからこそ「弱きを助く」ことは難しい。でも、少なくとも、無用に他人を傷つけることがないように、自分への監視カメラを1台でも増やすことを心掛けたいものです。

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