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ひとつ屋根の下の他人


〜プロローグ〜

娘の私から見て、両親はとても仲の良い夫婦だった

でも・・・それをヒシヒシと感じたのは
父が脳腫瘍を患って、余命宣告を受けてからだったような気がする

勝気な母はいつも小言を並べていて
父はため息混じりに面倒臭そうな顔をしていた

なのに、小さな骨壷に納ってしまった父を
「お墓に入れると寂しくなるから・・・」と手放さず
仏壇の横に置いて花を手向ける母

定年後に二人で行った旅行の写真をぼぉっと眺めて
「お父さんがおったらきっと・・・」と
視えない父の言葉を代弁する

肩輪になった夫婦のカタチを
切なく感じていた





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