在宅ワークは幸福度をあげる働き方だった?! ~後編~
前編では、主に「過労死等防止」という観点による厚生労働省調査から「週2~3日の在宅ワークが幸福度を上げる」という見解をご紹介しました。
「在宅ワークを週2~3日に行うことで、幸福度が上がる」と仮定した場合、従業員にとっても、企業にとっても、在宅ワークは継続した方がよいという結論になるかと思います。
それでは、在宅ワークを定着させるにはどうすればいいのでしょうか。
令和3年『労働経済白書』に在宅ワークの調査報告が掲載されています。
同白書によれば、「テレワークの普及は、2020年4月7日~5月25日の緊急事態宣言を契機に感染拡大防止の観点から急速に広まり、緊急事態宣言の解除以後、テレワークの実施率が減少していることで、一時的なものにとどまった」と指摘しています。
もっとも、本来テレワークは、「新たな日常、新しい生活様式に対応した働き方であると同時に、時間や場所を有効に活用できることから、育児や介護等を行いながら働く方の離職防止や、生産性の向上につながる働き方として、労使が納得する形でその導入や定着を図ることが重要」と指摘されています。
同白書では、過去にテレワーク経験があるものの調査時点では実施していない労働者に、テレワークを実施しなくなった理由を調査しています。
実施しなくなった理由は、下記となります。
これらを受けて、同白書は、テレワークを実施しなくなった理由として、3つにまとめています。
この3つは、実施しなくなった理由であると同時に、テレワークを継続する上での課題ともなっています。
しかし、②と③については、企業によるマネジメントや人事労務管理における対応により克服できる可能性があるという見解を白書は述べています。
テレワーク時の仕事の進め方に関して、継続状況別に調査した結果、分かったのが次のことです。
つまり、テレワークを定着させるためには、働き方の一つとして実行する一定期間が必要ということでしょう。従来とは違う働き方なので、試行錯誤しながら、テレワークをこなしていくうちに、つぎのような傾向がでてきます。
また、企業側の運用状況については、次のように指摘しています。
つまり、在宅ワークでの課題が多いと回答する企業は、それぞれの企業の「運用力」が低いという傾向があるということです。
在宅ワークを中止して全員に出社を求めるのは、単に従来の働き方に戻しただけです。
せっかく在宅ワークという働き方を選択できるきっかけを与えられたのであれば、未来に向けて、取り組みを続けていくことが重要になってきます。
「私たちがより良く働く際の選択肢として在宅ワークを選んでもいい」という柔軟性を認める企業は、未来でも生き延びていける可能性があります。
なぜなら、企業の根幹となる従業員が、自ら幸せを求めると同時に生産性を考えていくというスタイルで仕事を行っていき、そのことが企業を強く成長させると考えられるからです。
組織開発の専門家中村和彦氏は、『入門 組織開発』(光文社新書 2015年)で次のように述べています。
既に在宅ワークを導入している企業は、継続できない理由を探すのではなく、継続できる仕組みをつくるという意識で、今後も在宅ワークを継続運用してみてはいかがでしょうか。
※AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー※)とは、対話型組織開発の一つのアプローチとして位置づけられる組織開発の手法のこと。
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