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風何(ふうか)
2022年6月12日 00:20
小さな頃、夢を見るのが怖かった。眼を閉じて、夢の世界に入って、そのなかではきっと会いたくない人に会うんだろうだとか、得体のしれない何かに襲われるんだろうだとか、そんなことを想像し始めると、幼い頃のわたしの目はたちまち冴えてきてしまうのだった。そのせいでいつだって夜が長く感じた。外で鳴く虫の声や、路上を走る車の音ばかりが耳に残った。ベランダの外から見える街灯のオレンジばかりが目に映った。そうして眠