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吉本ばなな著「 違うことをしないこと」を読んで


タイトルから興味を惹かれた一冊。

「違うこと」とは、果たして何なのか?

作者の吉本さんは、
「本来の自分がしたくないと思いながらやっていることや、周りに流されながらなんとなくそうしていること」と定義している。


本書では「違うことをしない」為に、対談と吉本さんの考えが交互に語られる形式。自分にとって大事だなって考え方や、言葉がたくさん詰まったそんな読書体験でした。



人は人の意見では決して変わらない。
あなたも。あなた以外の人も。みんな。
お互いを無理に変えようとしない方が自然だし、健全です。
だから出会ったり、別れたりを別れたりを繰り返しながら、
人はそれぞれの幸せを生きていくしかないんだと思う。
P8

「違うこと」をしないことの根幹にある考えだと思いました。良くも悪くも″自分本位″になることが自然体で元々の自分が求めているものを手に入れられるのかなと。


どんな人も、本来の人を生きていくのが本当は一番自然で、ちょっとでもズレているとそれが反映されるし、ピタリと一致すれば、それも反映される。
もともとそういうふうにこの宇宙システムができている。恐ろしいほど正確なその仕組みこそがきっと、”愛”というものなのでしょう
P18



子どもの人生を認められないとその子の魂の軸みたいなものが絶対に崩れて行っちゃうんじゃないかと思うんです。
親が決めつけて頭ごなしに言うとかって、子どもに対してすごく失礼だし、無礼なことじゃないかって。
P32



特定の人物から特定のかたちの愛情を注がれないと、自分は癒されないみたいな思い込みを多くの人が持っている。
P34




相手の存在や、生きてきた今に至る背景をバイブレーションから感じとるということが、すごく大事なんですね。
やっぱり、自分のことを深くまで感じられていないと思ったら、相手や魂はその瞬間に閉じます。(中略) 
スジを通してちゃんと感じると言うことをすごく重要視していれば、それだけでもう、その人の本来にチューニングされていくと思います。
P40

「何を感じてどうやって生きてきたかを感じ取る」丁度このページを読んでいるときに、パッと目についた自殺防止センターのポスターを見て、″人は見た目だけでは分からない″ってふと思いました。違うのかもしれないけど、バイブレーションで相手のことを感じるのと、心の奥底にある真っ黒な、それこそ死にたいと思うほどの悩みって通ずるとこがあるんじゃないかなと、、、


自分そのものを生きるっていうのは、だからラクして成功するためのノウハウみたいなことじゃなくて、自分が置かれた環境をどうやって生き延びるかっていうことでもある。それって誰にとっても切実で、大変なことなんだと思います。
P93



(20代の人たちについて) ラブ&ピースって言葉があるけど、それで言うと「ラブはないけど、ピースはある」って感じ。何を好きなのかわからない。誰を愛せばいいかわからない。でも平和みたいな。
P133

この言葉にドキッ!ってしました。まさに自分だなと、、、でもそれじゃダメなの?って思う自分もいたりして。角田さんの「愛がなんだ」とか朝井さんの作品の中でもたびたび出てくる雰囲気で感じる黒い感情。「愛≒エゴ」って思っちゃう。本気で何かを大切に思ったりしたこと無いからかな?


大半の地球人は、西洋的価値観に洗脳されて、時間は過去から未来に流れていると思い込んでいるけれど、それは違う。(中略) 
時間は未来から過去に流れている。
江戸時代の時計もそうなっているし、子どもの時は未来から時間が流れていると感じている。
P147



経済はとっくに右肩あがりではないのに、いまだに上を目指せ、もっと働けという教育がまかり通っているのは、そうしてもらわないと困る人たちがどこかにいるからです。
P154


プリミ恥部さんの胡散臭さは拭いきれなかったけど、吉本さんとプリミさん対談はほんとに大切な言葉が詰まってましたね。

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