これからもはたらき、そして生きていく
私にとってはたらくとは、生きる原動力だ。
それは一時期生きる気力も自信もなくしていた私にとって、心の安定剤ともいえる。
初めての挫折
私は福祉の相談員をしている。
生活に困っている方の話を聴き、一緒に解決策を考えること、また必要に応じて適切な制度や機関につなぐ仕事である。
そもそもなぜこのような仕事に就いたのか。
それは自分のマイナスの経験を活かしたいと思ったからだ。
私は新卒入社後、1年も経たずして心身に不調をきたし、離職をした。
これは今まで無難に生きてきた私にとって、初めての挫折であった。
「石の上にも三年」という言葉を胸に、辛いことにも耐えてきた私の自己肯定感は急下降。この社会で生きていく自信をなくした。
そして何かに抵抗するように、摂食障害の症状が悪化していった。
アンビバレントな心
私は当時、いわゆる「拒食症」であった。命にも影響を及ぼしかねない状態であったため、入院治療を受けることに。
病院という守られた場所での生活は、一見楽なように見えるが、実際には様々な葛藤に苛まれ、一人こっそりと泣くことも多かった。
同年代の友人らは社会に出て立派に働いているのに、私はここで何をやっているのか・・・。そのような自己否定感情に囚われた。
マイナス思考にも拍車がかかり、そもそも私は生きたいのか?と自問。
「死ぬ勇気はないけど、生きていたくはない。」
「消えられたらいいのに・・・」
そんなふうに思うようになった。
一方、頭の片隅ではブランクが長くなればなるほど就職が難しくなってしまう・・・。そんな焦りも持っていた。
生きたくない、
だけど死ねない。
早く社会復帰しなければ、
だけど社会でやっていける自信がない。
アンビバレントな心理状態の中、私を救ったのは父の言葉だった。
「これは自分と向き合う良い機会だ。」
その言葉に背中を押されるように、私は少しずつ今の自分と向き合い始めた。
マイナスの経験をプラスに変えたい
なんのスキルも経験もない。忍耐力もない。おまけに摂食障害で心身ともに健康とは言い難い私が、どうしたら社会復帰できるのだろうか?
どうしたら生きていけるのだろうか?
社会に受け入れてもらうためにはどうすればいいのか?
ひたすら考えて辿り着いた答えは、
やりたいことよりもできることをやるということ。
そして自分が挫折し、摂食障害になったというマイナスの経験こそ活かそうと考えるようになったのだ。
入社後わずか1年でメンタルダウンし離職したことや、他人の目が気になって仕方がなかったこと、先の不安に押しつぶされそうだったこと、いつも孤独感を感じていたこと、生きづらさを抱えていたこと。
これまでの嫌な経験をプラスに変えたかった。
それは自分のためでもあるが、誰かのためにもなれば一石二鳥。
そして私は、福祉の仕事に辿り着いたのだ。
はたらくことの価値
この仕事は私にとって天職だ。
これまで生きる意味を見出せず、先の不安にばかり囚われていた私の人生は、福祉の仕事を始めることで一変した。
人の人生に寄り添い、相談者と共にその人の道を考える。
そしてその人の生活のために多くの人が連携し、支え合う。
私は福祉の現場を見てきて、この社会は私が思っていたよりもずっと温かいのかもしれないと感じるようになった。
そして私がこれまで想像もしなかった、様々な生き方があることを知った。
支援者である私の方が、実は相談者に勇気づけられ、多くのことを学んでいたのだ。
そしてこの仕事に支えられ、今、私はここにいる。
人の人生に携われるこの仕事は、私にとって何にも変え難い生きがいだ。
そしてもう一つ、この仕事に就いて得られたことがある。
それは、心の安定だ。
業務上、社会保障や制度、相談機関など多くの社会資源を知る機会がある。
困った時に頼れる場所や制度を知っていることは、大きな安心感につながる。
困った時のために様々な社会資源やセーフティネットがあるのだ。
何かあってもどうにかなる。
これは、私が福祉の仕事と出会って得た確信である。
だからもっと自由に生きよう。
失敗を恐れる必要はないんだと。
私は今日も福祉の世界ではたらく。
そこでエネルギーをもらい
明日も、明後日も、この先何十年も
この寿命が尽きるまで生きていく。
はぴ
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