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【五輪の書】 邪(よこしま) とは

宮本武蔵の『五輪の書』に、道を行う法九ヶ条というものがあり、その第一条には「邪ではないことを思うところ」とあります。
この「邪なこと」を挙げていくと、人間の弱さや自己中心的な傾向、または成長を妨げる思考や行動が明確に表れています。
これらは自己成長や武道の修練の妨げとなる要素です。

「邪なこと」とされる行動や思考には、共通して次のような特徴が見られます
安易な道を選ぶ
本や他人の練習を見るだけで自分が上達すると考える、困難を避けようとする態度

短期的な結果を求める
長期的な努力を怠り、短期間での成果を焦ることや、成果がすぐに出ないと諦める姿勢

過程を軽視し、ただ結果だけを追い求める
ムダなことをしたくない、最短で上達しようとする、早く上手くなりたいという焦りから、成長のために必要なプロセスをどうにか省こうとてしまう。

挑戦を恐れる
新しいことへの挑戦を恐れることや、失敗を恐れてリスクを取らないこと

自己中心的な態度
自分の失敗を認めない、他人を見下す、他人の成功を妬むなどの行動

自己責任の放棄
失敗を他人や環境のせいにすることや、他人に頼りすぎる姿勢

他人との比較に依存する
他人の評価ばかりを気にしたり、他人と比較して自分の価値を測ること。自分の道を歩む上で、他人との競争よりも自己との戦いが重要です。

これらの「邪な」ことは、武道に限らず、人生全般においても障害となるものです。宮本武蔵は、単に技術の習得だけでなく、精神的な成長や自己修練が不可欠であることを強調しており、そうした姿勢が「邪ではない」思考に繋がるのだと考えられます。
この「邪なこと」とは、人間の弱さや怠惰、他者への依存や自己中心的な態度を指し、それを克服することが「道を行う」ための鍵であると武蔵は説いているのです。

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