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何度でも読み返したいnote1

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何度でも読み返したいnoteの備忘録です。 100作品たまったので、何度でも読み返したいnote2を作りました。
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#生活

あんぱんは、欠けて、満ちて

久しぶりにあんぱんを食べた。 それも横綱級のあんぱんだ。 まず仕事が終わって、職場近くの美味しくて安いパン屋さんに行こうと思っていたのだけど、風がとても強く吹いていたのと、空に広がった灰色の雲が今にも雨を降らせそうだったので、それをやめて、地元のパン屋さんに行くことにした。 地元のパン屋さんは、最寄駅を降りたらすぐ何軒かあって、たまたまふらりと入ったそのパン屋さんは、あんぱんがとても有名なお店で、けれど10時と15時しか焼いていなくて、しかも30食限定で、すぐ売り切れる

祖母のきんぴらを追いかけて

突然だが、私の母方の祖母が作るきんぴらごぼうは美味い。 祖父に先立たれ独り身となって10年以上。御年90を過ぎた祖母である。 私の実家のある北海道の田舎町で、古い一軒家を引き払って高齢者住宅へ入居し、長年使い慣れたガスレンジからIHクッキングヒーターへの変化にも軽やかに適応して、祖母は得意の料理を作り続けている。 毎年暮れが押し迫ると、仕事で忙しい娘(私の母や叔母たち)のために、正月料理をたくさん作って届けてくれる。 どれもとても美味しいのだが、特にきんぴらごぼうが絶品なのだ

おせっかい、していますか

『となりのチカラ』を見ながら、そういえば「おせっかい」という言葉、最近全然聞かなくなったな、と思った。 そもそもドタバタの「世話焼きのおばさん」という人種が、少なくなったような気がする。 おせっかいなおばさん、おじさん、というのは、もう絶滅危惧種なのだろうか。 『となりのチカラ』は、少し語弊のある言い方で紹介すると、おせっかいなチカラが、同じマンションに住むさまざまな住人の悩みに次々と首をつっこんでいく、という一話完結型のストーリー。 おせっかいな人、といえば、とにか

救ってくれたのは、冷蔵庫のプリンだった

1ヶ月ほど前から、週に1回のペースでこちらから実家に帰ったり、逆に母に来てもらい、買い物やちょっとした家事などをお願いしている。 30代半ばにもなり、己の面倒さえも己で見れず、むしろ本来なら逆の立場なのに、年老いた母親に身の回りのお世話をしてもらっているこの状況。 情けなくもあるし、抵抗もある。 けれど、最近はほんの少しずつだけど、 「…ごめんね。お願いしてもいいですか」 と言えるようになった。 きっかけは、母の言葉と、冷蔵庫に入っていたプリンだった。  ⭐︎ 1

井の頭公園でボートに乗りながら「今の自分」について考える。

とある週末の話。 地元に帰ってしまった大学時代の友人が出張がてら東京に来ているとのことで、かなり久しぶりに何人かで集まって食事をした。 食事をしたなんて綺麗に言っているが、学生時代によくアホのように飲んでいたメンツ、いわゆる飲み会である。 皆仕事終わりで集まったのが遅かった上、ここしばらく夜遅くまで人と思う存分飲むなんてことはできなかった世の中。 それがやっといつも通りに戻り始めてきて、数年ぶりに再会し積もる話に華を咲かせていたら、いつの間にか皆、終電を逃してしまっていた。