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何度でも読み返したいnote3

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何度でも読み返したいnoteの備忘録です。こちらの3も記事が100本集まったので、4を作りました。
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#家族の物語

夫のやさしさの理由

夫はいつもやさしい。 そのやさしさに気づいたときに、泣きたくなるほどに。 ある平日、お茶会をした帰りに、美術館に寄っていると、気づけば、夫・ぺこりんが家に帰ってくる時間を過ぎていた。そんなに遅くなると思っていなかったから、夕飯の準備はしてこなかった。 「ごめん、遅くなるよ」と連絡した。 「カレーを作ろうかな」とぺこりんから返信が来た。 仕事をして疲れて帰ってくるぺこりんに、ごはんまでつくってもらうということが、申し訳なくて仕方なかった。 でも、家の扉を開くと、ご機

好きな食べ物はなんですか?そう聞かれて気づいたこと〜一人ぼっちなんかじゃなかった、充分愛されていた〜

昨日、ランチ後の何気ない会話の中で 「好きな食べ物はなんですか?」 そう聞かれて、一瞬言葉に詰まった。 しばらく考えて、 「そうですね、なんでも食べられるし、大好物というとぱっと思いつかないけど、強いて言えば、人と食べるゴハンが好きですね」 口をついて出たこの言葉。 午後になってふと蘇ってきた記憶があった。 すでに定年している父。 現役の頃、会社から昼食補助として、オフィス近隣のレストランで使用できる食事券が支給されていた。 父はお弁当を持参するなどして、そ

姉と弟と都会の話

私は九州のとある県で育った。 2人の弟がいて、今はそれぞれ別々に街に暮らしている。 ただ、私はこの2人のうち上の子の方が昔から少し苦手なのであった。 例えば、私が土日や放課後家で1人で本を読んでるのに対して、あの弟はとにかく家にいる時間が少なく門限をギリギリどころかぶち破って遊び呆ける。 常に友達に囲まれていて、県外の大学に進学しても帰省してくると友達との約束でスケジュールを埋め尽くし、朝帰りを繰り返す。 私が髪の毛振り乱して受験勉強して地元で1番の進学校に入学した2

「初任給で買いました!」

私には3つ年上の姉がいる。姉には娘が一人いる。つまり、私にとって唯一血のつながりがある姪っ子ということになる。 この姪のHinaが産まれたとき、私はうれしくて仕方がなかった。可愛くて可愛くて、事あるごとにブランド物の洋服やおもちゃなどをプレゼントした。姉から写真をもらい、写真立てに入れて一人暮らしの家に大切に飾っていたくらいだ。 Hinaは絵や工作などものづくりが好きな子だった。作文も上手だった。 姉は私と正反対で、数学と化学が得意という超理数系の人だったので、文章が上手