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YCC修正と飯能の財政

こんばんは。飯能高校 探究部のギンです。

今回は、最近またYCC修正が話題にあがっていたので前回に引き続き金融政策と飯能の財政について書きたいと思います。

はじめにYCC(イールドカーブコントロール、長短金利操作)とはなにか、飯能の地方債発行状況、長期金利と地方債利回りの関係、YCC修正と飯能財政への影響の順番で話してみたいと思います。

YCCとは

YCCは2016年9月に導入された長短金利操作付き量的質的金融緩和の柱の一つです。

具体的には、短期金利は日本銀行当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%のマイナス金利を適用し長期金利は、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するようにして短期から長期までの金利を日銀が操作するものです。

10年物国債金利の操作は、国債買入オペや日銀が決まった金利で国債を無制限に買入れる指値オペです。

また、2023年1月に共通担保資金供給オペを拡充して貸付期間を従来の1年から10年以内に拡大したことによって日銀が国債を買わなくての銀行が国債を買って金利を下げるという手段もあります。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2016/k160921c.pdf

そして今回のYCCの修正というのは、長期金利(10年物国債金利)の変動幅を拡大させることです。2022年12月にイールドカーブの歪みを解消するために10年物国債金利の変動幅を0.25%から0.5%に拡大しました。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2022/rel221220h.pdf

2023年7月にもYCCを上下双方向のリスクに機動的に対応していくために柔軟化と言って0.5%を目処に最大1%に修正しました。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/mpr230728d.pdf

飯能の地方債発行状況

令和3年時点で飯能の地方債現在高は、336億円で平成29年から横ばい圏内で推移しています。そこまで増えていないかなといった状況です。

https://www.city.hanno.lg.jp/material/files/group/9/R3_zaiseijijyou.pdf

過去に発行した地方債の元金及び利子の支払い額を表す公債費決済額は、33億円で増加傾向にあると思います。

https://www.city.hanno.lg.jp/material/files/group/9/R3_zaiseijijyou.pdf

長期金利と地方債利回りの関係

YCCの解説のときにYCCの修正は長期金利(10年物国債金利)の変動幅を拡大させることだと言いました。

そこで地方債利回りと長期金利の関係についてみたいと思います。

飯能のデータは見つからなかったので地方債協会の共同発行債のデータですが、金利は全く同じ動きをしなくても同じように動くので安心してください。

データを見ると長期金利と地方債利回りが同じように動いているように見えます。

特に、2022年12月にYCCを修正して長期金利が大きく上昇してるときにはわかりやすく地方債利回りも上昇してることがわかります。

これは長期金利(10年物国債金利)が固定金利の住宅ローン、定期預金金利、社債利回り、地方債利回りなど期間が1年以上の期間の金利の基準になっているから同じように動くのです。

https://www.chihousai.or.jp/02/images/pamphlet_22big.png

YCC修正と飯能財政への影響

説明した通りYCCを修正して長期金利が上がると地方債利回りも上がります。これは、飯能の財政に影響を与えます。

1.利払いの増加

YCCの修正によって地方債利回りの上昇により、新たに発行する地方債や借り換えたときに利払いが増加するおそれがあります。飯能地方債の正確な利回りや平均残存期間がわからないのでどの程度というのはわからないのですが。

利払いが増加すると予算が圧迫されて他の支出の制限がかかるおそれがあります。

2.地方債発行のハードル上昇

YCCの修正によって地方債利回りが上昇すると地方債発行のコストが増えます。そのことによって地方債発行のハードルが上昇するおそれが出てきます。そうなると、市による思い切った財政支出が抑制されるおそれがあります。

飯能は元々財政状況が悪いような状態ではないので深刻的な問題になるとは思いませんが、このようにYCCの修正は飯能の財政にストレスをかけると思います。

まとめ

今まで、YCCの修正は調べていましたが飯能の財政との関係について考えたことはありませんでした。実際に調べてみると面白かったです。そして、改めて日本銀行の金融政策が色々な影響を与えていて、その重要性がわかりました。


〜顧問のつぶやき〜
またまた探究部員のギンが金融政策について書いてくれました。

高校1年生でここまで金融政策に興味を持っていることに驚きです(私が高校1年生の時なんて音楽のことしか頭になかった・・・)。

学校でのギンの様子を見ていると、周囲の同級生に金融政策の話をしていることも。でも案の定、同級生はポカ〜ん状態。

同じように金融政策に興味を持っている高校生同士で話ができるようなコミュニティーに属してみるのは良いかもしれません。

段々と探究部員もそれぞれが興味を持つ分野が明確になってきました。顧問としてはどのようにその興味を探究活動につなげられるかが課題です。

探究部員の成長が楽しみですね〜。



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