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読書

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読書感想文まとめ📕 通勤時間は読書の時間、社会人1年目は24冊読みました
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#辻村深月

【読書】私の個性は、スコシ・フンガイ?~辻村深月の世界でドラえもんを

【読書】私の個性は、スコシ・フンガイ?~辻村深月の世界でドラえもんを

今年度4冊目は『凍りのくじら』。知人に「読後じんわりしてすごいよかった」と勧められ読み始めた。

実際、すごく良かった。
章ごとに1つのドラえもんの道具をテーマに、ドラえもんが大好きな主人公が、ドラえもんのエピソードとともに元彼について振り返り、自分を見つめ直す。

不二子先生のSF(スコシ・フシギ)になぞらえて他人に個性をつける主人公

不二子先生の描くドラえもんのSFの世界は、Science

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辻村深月本レビュー「噛み合わない会話と、ある過去について」

辻村深月本レビュー「噛み合わない会話と、ある過去について」

辻村深月の本はこれが2冊目だ。1冊目は「傲慢と善良」。この本を読み、どうしてここまで人の内面を露わにできる言葉が書けるのだろうと感銘を受けた。そして次に選んだのがこの「嚙み合わない会話と、ある過去について」だ。

人は皆、心の中に幽霊を抱えている一見怪談話、SF系なのかと思えるこの解説文。全く異なります。

誰かに理解してほしい、でも理解されない。
こうしたかったのにできなかった。
かつて、誰かと

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辻村深月本②「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」

辻村深月本②「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」

 辻村深月は、無意識の中にある人の心をいとも上手に表現する方だ。
母と娘、東京と地方、女の恋愛観.…コンプレックスが刺激されるほどに、痛いところを突いてくる。

 この本は、母を殺した幼馴染を探す女性が、関係者と会話形式で様々な人の「無意識の価値観」が表出していく話。

”私はここじゃない、私は彼女たちとは違う”

幼馴染を探す主人公は、東京の大学に進学しフリーのライターになったものの、地元に戻っ

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