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【読書】『傲慢と善良』に出会って

本屋の文庫本コーナーに行けば、今や必ず目にする、大反響の『傲慢と善良』。今度映画化されるらしい。

私がこの本に出会ったのは、今から1年半前の大学4年の秋。
サークルも入らずバイト漬け、コロナ禍の学生生活。就活も終えあとは遊ぶのみでも、実家住まいでコロナを気にした両親からは県外禁止令継続中だった。不満ばかり、さらに失恋したばかりで、大袈裟でもなく、人生最大で病んでいた

そんなとき、「人生で1番刺さった本」という本の帯に惹かれ、手に取ったのが『傲慢と善良』だった。

読んで、衝撃を受けた。
なんでこんなに、人間の打算や見栄を表現できるんだろうと思った。
主人公を自分に重ねて読んだ。
この本は私のバイブルになった。今日は、この本の感想を自身の経験とともに振り返りたい。
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以前他の記事でも書いたが、私はアプリ以外で人と付き合ったことがない。計画的に物事を見据えすぎてしまうことと、人と比べがちなことが相まって、恋愛経験へのコンプレックスは肥大化していった。

そんな中、大学生になってマッチングアプリを始めた。今から5年前、今よりまだまだアプリがメジャーじゃなかった時代。元クラスメイトと長く付き合っている友人なんかに、「アプリは怖い」なんて言われるとコンプレックスは更に抉られた。

アプリをしていても、すぐに付き合いたいと思う人とは出会えなかった。自分もアプリをしている癖に、相手を「所詮アプリで出会う人」と思っていたし、相手の学歴や顔、身長ばかり気にして、「自分にないもの」をもってる人ばかりに惹かれていた。何度か食事に行き気が合いそうだと思った人と付き合ったが、相手が転勤となり3か月でお別れした。

そんな時にこの本に出会った。読んでいて苦しくなるほど心当たりがある描写ばかりで、こんなにも1文字ずつを辿るように読んだのは初めてだった。

*人は無意識に自分に高い値段をつけ、それに見合う相手を探す。

*”ピンとこない”というのは、無意識につけた自分の値段より相手が低いという意味

*恋愛経験の少ない彼らは、自己肯定感は低いが自己愛は非常に高い。

自分で自分を満足にさせられない人間が他人で満たそうとしていたんだなとハッとさせられた。私は傲慢だったんだと気づかされた。

ほかにも、厳しい両親と良い子の主人公の描写や、地方の限られた価値観にとらわれる人々、私のことのようで、共感することばかりだった。

この本を読んで1番思ったのは、「私だけではなかったんだ」ということ。そして、個々人の価値観が人を傲慢にし、生きづらくしてしまうことを時に思い出しながら、強く生きていきたいと思ったのだ。

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