深夜の独り言

「うん」

わたしは声に出して、ひとり頷いた。
「それがいいと思いますね〜」と続けた。

そしてひとり、にんまりとしている。

ひとりの時間。
わたしは部屋で、noteを書いたり、ピアノを弾いたりしていた。

ふだんは同居人がいることも多いので、
夜、ひとりの時間って、ちょっと特別。

いつまで経っても、「作業を始める」ことには勇気がいる。
「あとでいいや」って思っちゃう。

うまく進むこともあるけど、
小さな石にもつまづくと、「またか〜〜〜」とか、「もうやだ〜〜〜」と思う。

「だいじょうぶ!!!」

その夜、わたしはひとりの部屋で、声を上げた。
つぶやきよりも大きな、ハッキリとした声だった。
なぜだか、考える前に声が出た。

そして、単純なわたしは「だいじょうぶ」に、なれたような
小さな魔法にかかった。

そういえば、あんまり独り言を言わなくなったな、と気づいた。
やっぱり、どれだけこの部屋が「ひとりの空間」であっても
家で「ほんとうにひとり」のときと、そうじゃないときは、ちょっと違うのだと思う。
ドアを隔てたところにいる同居人に、気を遣っている、という感覚はなかったはずなのに。
わたしはいつも、パソコンの前で声にならないような唸りを響かせていた。

もっと、「だいじょうぶ」って言ってあげればよかった。
「がんばるぞ」って、口に出してみればよかった。

「それがいいと思いますね〜」なんて、
ばかみたいに口にしたときの安心感を、わたしはこれからも忘れない。

悩んでいたピアノのフレーズが、なんだかしっくりときた夜だった。
そうやってパズルのピースがひとつ、はまると
あれやこれや思い浮かんで、収集がつかなくなったりする。
でも、気に入ったフレーズに「それがいいと思う」って
まるで誰かに後押しされたみたいに、自分の声が、部屋中をまわってわたしに届く。
そうしたら、「それがいい」と、思えてしまう。

もっと、声を上げたっていいじゃないか、と思う。
だいじょうぶだって、わたし自身に、言ってあげたっていいじゃないか。

旅立った言葉たちは、どこかに届くことも、そうじゃないこともある。
それでもわたしは、大切な言葉たちを瓶につめて、広い海に投げたい。
毎日、投げたい。

いいんだよ、それで。
投げたあとのことは、あとで考えればいいんだから。

「いいんだよ」、と今晩もわたしは声に出す。

そうしてわたしはこの記事の、投稿ボタンを押すことにした。




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