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わたしじゃなくても、世界は回る

いまより冬が、深くなる前の頃。

そろそろだな、と思っていた。
毛布。
出さなくちゃ。

クローゼットを開けて、
圧縮袋から引っ張り出して
外に干して

それだけなのに、なんだかうまくできなかった。
まだ、大丈夫だし。と思っていた。
強がりではなくて、ほんとうに。

冬用のパジャマに替えてから、ずいぶん経つ。
なんとなく、家族の分もパジャマの用意をしたりしていた。
別に、わたしがやらなきゃいけない、ってわけじゃないんだけど。
なんとなく、親切にしてしまう。

わたしはまだ大丈夫。
自分用の、あったかい布団カバーを引っ張り出したから。

ああ、あのひとの分の毛布……
そろそろ干さなくちゃ……

ある朝起きたら、毛布が出ていた。

その前の夜、わたしは人のタオルケットを勝手に使ってしまっていたらしい。
無意識に泥棒。

「大丈夫だよ、毛布出したから」

そうだよなあ。
寒かったら、自分で毛布くらい出すよなあ。

そんなことに、妙に安堵した。
そうだよなあ、わたしがいなくても大丈夫なんだよな。

「ゴミも出しておいたよ」と言われて、
そして、ようやく

「頼むよ」も「助けて」も言えていない自分に、気づいたりしたんだ。

時折、「わたしがやらなきゃ」って思い込んでしまう。
助けを求めたりしたら、迷惑になってしまう、と思ってしまう。
わたしには時間があるし、わたしがやったほうが効率がいいよね。とか
いろいろ
そして最初に戻る。わたしがやったほうがいい、は「やらなきゃ」に姿を変えている。
そういうときは、頑張らなくちゃ動けないときで

わたしじゃなくても、世界が回るとき。

わたしじゃなくてもいいよ。
あんまり期待もされていないよ。
大切にしてもらうことの恩返しは、頑張ることだけじゃないよ。

だから、
やりたいことをやればいいよ。
やりたいときに、やればいいよ。

世界は今日も、
わたしの勝手な思惑なんか無視して、静かに回っているのだと。
最近は、そんなふうに思っている。




【photo】 amano yasuhiro
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