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眠れない夜が、訪れても

眠れなくてもいい

ある夜のわたしのメモには、それだけ残されていた。

その夜、本当にそう思っていた。
夜の、「眠らなくちゃいけない」というプレッシャーが、どうしても苦手だった。
昼間に寝ているから夜寝れない、とか、そういうこともあるのはわかっているんだけど
そうじゃなくて
昼寝の怠惰さと違って、夜に部屋の電気を消したら、「寝ることを優先しなくちゃいけない」という
その空気が、少し苦しい。

わたしはその空気から逃げ出すために、その夜はソファーに転がっていた。

ソファーはわたしの「避難場所」で、「昼寝をする場所」で、怠惰な場所だから
一生懸命に眠らなくても良かった。
夜だけど、「ソファーでごろごろする」気持ちのまま
わたしはお気に入りのタオルケットに、くるまれている。

まあ寝れなくてもいいじゃん、と眠る前に思っていた。

無職だからそんなことが言えるのかもしれないけど
わたしの場合は、何時間眠ったって、朝は眠いし
規則正しい生活をしているわけではないし
逆に、睡眠時間がたったの数時間になってしまっても、予定があれば起きる。
「寝過ごしてしまう」という恐怖に負けて、必死に目をさますことができる。

それならば、いいじゃない。

別に、「一生懸命」に眠らなくても。
夜、世界が沈んでいるあいだのうちに、きちんと睡眠を取らなくても。

ずっと起きていることはできないから、いつかは眠らなくちゃいけないけど
なんだか、自分を追い詰めるように眠らなくたっていい。

たまには、夜更かししたっていい。
眠れない夜に飲む、ココアの甘さだって美しい。
明け方に目がさめて書いてしまった手紙は、なんだか特別だと思う。
夜にひとり、ぼんやりと世界に取り残されてしまうような、その感じも、わたしは嫌いじゃない。

そんなに毎日、一生懸命じゃなくてもいい。

誰かがあなたの人生を叱っても、
どれだけ、あなたの人生が誰かと交わっていても
あなたの人生は、あなただけのものなのだから。

もう少しゆるやかにかまえたって、いいじゃない。
わたしは、いいことにするわよ。

なんて思っていたら、
その夜は、すんなり眠れてしまったのだ。



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