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わたしは何度も、「理想の部屋」を思い浮かべる

部屋を片付けた。

日々の掃除以外に、
どきどき、思い切った断捨離をする。

そういうときはいつも、じわじわと進める。
まずは、テーブルの上、そのあとデスク、本棚、キッチン
いつも全部やるわけじゃないけど、まずは一箇所を攻め落とす。
ひとつ終わって時計を見ると、案外時間が経っていないことに驚いてしまう。
ああ、まだいけるな。と勢いづいて、他にもいくつか進めてみる。

飽きたり疲れたりしたら終わって、
それを1日とか、2日とか掛けて取り組んでゆく。
これを、定期的に行う。
前回も見たもので、使っていないものは捨てたらいいと思えるのも、なんだか良いような気がしている。
というのが最近の、片付けと断捨離のスタイルだ。
物が多いので、片付けというか、まず物を捨てるところから始めなければいけない。というだけの話。

今回は久し振りにキッチンを攻め落とした。
キッチンは基本的に同居人の領域だから手を付けないようにしているけれど、明らかに賞味期限が切れた調味料の存在に、わたしは気づいていた。
おまえはいつからそこにいるのだ、二度と使われないくせに。
そういう、「圧倒的に要らないもの」をぽいぽいと捨ててゆく。

同居人の悪いところは、そういうものを放置しすぎるところだし、
良いところを挙げるとするならば、テリトリーに手を加えても怒らないところだと思う。

「ありがとう」と告げられたあと、
「君には、片付けの才能があるね」と褒められた。

ねえ、どう思う?
母親が聞いたら、大学時代からの友達が聞いたら、本当にびっくりしちゃうよね。
よもや、わたしがそんなことを言われるだなんて。

掃除も片付けも、全然できない人生を歩んできた。
20代の半ばを過ぎたところで転機が訪れて、10年近く築きながら、今のスタイルにたどり着いた。
才能、とは少し違う気がする。
そう呼びたいのならば、「才能を開花させた」のだと褒めて欲しい。

わたしは何度も、「理想の部屋」を思い浮かべる。
もちろん、叶わないことも多い。
もう少し広い部屋に住みたいとか、
できれば、本を減らすのでなくて、本棚を増やしたい。
現実との折り合いをつけながら、何度も妄想する。
そして手に入れたのがこの部屋だった。

どうしても、この部屋が欲しかった。
そのために、「片付けのできないわたし」を捨てることは、致し方のないこと。
だって、折り合いがついちゃったんだもの。
理想が、容易い努力で手に入ってしまうのならば、欲しいじゃないか。
だってそれは、すてきな曲を書くことより、良いと思えるエッセイを書くことより、やっぱり容易い気がしてしまう。

今回は、「新しい本を買いたい」という欲求から片付けを始めたに過ぎない。
「本は、本棚に入るだけ」をルールにしてるから、やっぱり致し方がない。
本棚を片付けながら、わたしは幾つかの場所を攻め落としたに過ぎない。
ついでに、「キッチンに花を飾る」なんていうささやかな夢も叶えてしまった。

ああ、なんてすてきなんだろう。
そう思いながら息をすることに、自画自賛してしまうわたしのまぬけさに、
今日もたっぷりと安堵している。




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