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身軽なわたしで蹴り出して

いまのわたしは
ほんの少し、浮かれて歩いている。

「案外重いね」と言われたことが、少し気になっていた。
友達に「ちょっとだけ持っていて」と、通勤用のカバンを預けたときのこと。

それはすごく、すなおな感想だったと思う。
そうだよね、わたしもそんな気がしていたの。
でも、持てない重さじゃないし、「要るもの」を入れているつもりだから、仕方がないの。

仕方がない?
ほんとうに?

わたしはもう一度問い掛けた。

やっぱり、カバンは重たい気がした。
仕事帰りの散歩でも、歩くことより”カバンの重さ”に疲れているわたしが、いるような気がした。

もしかしたら、と思って、仕事用のカバンをひっくり返した。

仕事をはじめて、少しずつ荷物が増えた。
最初は「会社に荷物を置く場所がない」と思って、いろいろ持ち歩いていたけれど
いまでは、引き出しにこっそりしまえるわたしになった。
それくらい、会社に馴染んできたような気がする。

花粉がひどい時期は喉スプレーが手放せなくて、いまでもときどき使っているけれど
そういえばこれ、会社でしか使ってないな。

会社の喫煙所も、よく使うようになった。
いままで仕事終わりには、駅のひどく混んでいる喫煙所を使っていたからアロマスプレーが手放せなかったけれど、最近は会社の喫煙所を使っている。
小さなベランダだけど、わたしひとりで使うことが多い。
眠気覚ましのアロマも、会社の引き出しへ

そうして少しずつ、荷物を降ろしていった。
これで不便だったらまた変えればいいしね。
永遠の別れじゃないんだから。

ひとつひとつは大した重さじゃないもの、と別れてゆく。
必須アイテムのスマホスタンドは、軽量のものに買い替えた。300円だし。
200グラムが、20グラムになった。

ふたつ持っていたポーチをひとつにまとめて、わたしはにんまりとうなずく。
そう、そういうこと。
一気にカバンを軽くすることなんて、絶対にできない。

ずいぶんと軽くなったカバンを持って、わたしは歩き出す。
まぬけなわたしは、カバンと一緒に心も軽くなったような錯覚に陥ってゆく。

それはなんだか、悪くないことのように
とても、すこやかなことのように思えた。

さて、今日はどんな寄り道をしようかな。



(stand.fmでも同じ話題でおしゃべりしてます)




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