深夜2時の宇宙船
昼寝が好きだ、と思う。
昼じゃなくても
電気を消さないような、ああ少し眠っちゃおうかな、という怠惰なやつ。
目覚めはいつも悪くて、のそりと起き上がる。
すっかり遅い時間になっちゃった。
深夜を、わたしは愛している。
*
やることをなにもやっていないなあ、と思うことに絶望することもある。
うまいこと絶望がどこかに旅立って、何もしない日もある。
お風呂だけ、エッセイだけ、洗い物だけ、ピアノだけ
ほんとうにひとつだけ片付ける日もあれば、
ひとつに手を付けると、次に進めるときもある。
今日は、お風呂とエッセイだけ。
*
深夜2時を愛している。
2時から、じわりと深くなる夜。
部屋の明かりが、妙にあたたかくなる時間。
明かりはわたしを、孤独から、外界から、守ってくれる。
ここは安全だ。
そんなふうに思うのは、いつも夜。
深い夜。
この部屋ごと、小さな宇宙を漂っているような、そんな錯覚に陥る。
夜のうちに眠らなきゃ、と焦ることも在るけれど
そのまま向かえる朝4時も、どうしたって嫌いになれない。
*
少しずつ身軽に、おとなになったのだと思う。
いらないものを捨てて、理想に近づくように
わたしは努めた。
日常に不満も不安もあるけれど、すっきりと生きやすい。
怠惰なもののいくつかは、捨てないと決めている。
わたしは好きな時間にごはんを食べて、一日の食事の回数は決めていない。
朝は、目覚ましより早く起きない。
昼寝もする。
たまには、プリングルスも板チョコも丸呑みする。
一日中パジャマで過ごす。
コートでコンタクトのまま眠る。
そして、深夜を愛している。
どうせたくさん眠ったって、朝は眠いんだ。
だからときどき夜更かしして、なんでもない時間を過ごす。
朝も昼も嫌いじゃないのに
わたしの魂はいつも、夜に在る気がする。
*
この感覚は、捨てられない。
生きやすさって、美しさじゃなくても良い。
世界の当たり前が、わたしにとっての適切じゃなくても良い。
わたしは今日も、深夜2時を漂っている。
【photo】 amano yasuhiro
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