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お気に入りの箱には、ときめきを詰めて

箱を捨てられない、と思う。

箱だけじゃなくて、プレゼントのリボンとか、スターバックスの紙袋とか。
手にした瞬間のときめきを、一緒に残したくなってしまう。

最近はようやく、選べるようになった。
残しておいても最後は捨てるだけ、とわかっている。
そしてときめきは、残念ながら明日にはもう消滅している。
だから、できる限りその場で捨てるようにしている。
どうしてもむり、と心が叫ぶものを除いて。

リボンのいくつかは、ぬいぐるみの首に巻かれる。
そして箱のいくつかには、何かを詰めてみる。

かわいい猫の絵がついた箱には、キャンディーを詰めることにした。

友達の部屋にあったその箱には、とっても大好きなお菓子が入っていた。
ひとつだけお菓子を分けてもらったあとの箱は、わたしがもらった。
あなたからもらった大好きなお菓子のときめきを、わたしは忘れたくなかった。
同時じゃなくても、同じものを食べて、次に会ったときに「美味しいね」と言い合えるほうがいいよね、と言って、分けられたお菓子。

朝、会社に行くときにキャンディーの箱を開ける。
いつもの指輪とネックレス、お気に入りのピアスをしたあと、お気に入りの箱に手を伸ばす。

仕事に行くのがたのしくなる、なんてわけじゃないけど
ときめきの記憶が、わたしを後押しする。
大丈夫、わたしには友達がいて、楽しかったときの記憶があって、また会える。そのことはが、背筋をピンと伸ばしてくれる。
そうして、かわいい猫の顔を見て、わたしはほほえむ。

それでいい。
それで大丈夫。

そう思ってわたしは、毎朝お気に入りの箱を開けている。






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