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走り始めた君へ 〜300日間歩み続けた僕からの手紙

松永さんのおかげで、やりたいこととかやることとか見えました

そんなことをわざわざ、報せてくれてありがとう。
べつに、次に会うときで構わなかったのに。
僕だって君と話せてずいぶん勉強になったから、お互いさまだよ。

でもこの連絡は、僕にとって一番嬉しいことのひとつになった。
それは、断言できる。
だから、ありがとう。

僕は、世界平和を願えない。
手の届かない、見えない人まで救おうとすることはできない。
僕は、薄情かもしれない。

その代わり、手が届く友人たちのことは、漏れなく救いたいと思っている。
悩むなというわけじゃないけれど、必要以上に泣かないで、苦しまないで欲しいと思っている。
僕は、そのために手を尽くす。
僕が、君の救いになれたのならば、それは人生でいちばんの喜びだ。

この手紙は、走り始めた君に宛てることにする。

君がまた、落下するような苦しみに追われる日がきたとき、ひとつの道標になればいいと思って、これを記す。

その苦しみの最中、君がもし「救われたい」と願うならば、この手紙のことを思い出して欲しい。
もうどこへも行きたくないと願うならば、この手紙は読まずにいてくれて構わない。
君が膝を抱える日がきても、僕だけは決して、それを責めない。
君の願いが、明るい太陽の中にあるのかどうか、僕は知らない。

まだ君が、太陽を目指すならば
どうかこの続きを、紐解いて欲しい。



まず始めに、ここまでたどり着いたことを、盛大に褒め称えたい。
えらかったね。
よく一歩、踏み出したね。

不安でいっぱいだったでしょう?
でも、やってみれば、君にできないことはでなかったと思う。

少しずつ、君は身軽になってゆく。
人は、良くも悪くも適応する生き物だから。
これは、このあいだ話した通りだね。

新しい仕事を始めるときの君は、不安でいっぱいだったと思う。
でももう、平気な顔で職場を歩いている。



人は適応する。
その対価かもしれない。

「同じ感情を、維持できない」と、僕は確信している。

それは、幼い日の記憶が霞んでゆくこともそうだけれど、
ごめんね、僕は少し意地悪なことを言うよ。

君がいま、最初の一歩として掲げた情熱は、絶対に維持されない。

炎のように揺れる。
その炎は、決して”強く燃え続けること”はできない。
それは、どれだけ大きな炎を炊いたって、きっとそうだと思う。

きっと君はこれから、せっかく火を灯した願いが、しぼんでゆく場面に遭遇すると思う。

毎日続けて飽きてしまったり、仕事が忙しくなったり、疲れてしまったり、何かのストレスに押し潰されることもあるし、おそらく他人と比べてしまうときも訪れるはずだ。

大切なことだから、もう一度言う。
人間は、「同じ感情を維持できない」。

君の炎がいまより小さくなるときが来たとしても、それは当然のことだ。
君のせいじゃない。
怠惰だからではない。
そういうもの、としか言いようがない。

慣れは、心躍る感情を少しずつ奪ってゆく。
これは、対価だ。残酷かもしれないけれど

だからどうか、君の炎が弱まったときに、自分を責めすぎないで欲しい。
そういうときは、必ず訪れる。
晴れた日と雨の日があるように、
川の流れが、一定でないように。



もう一度強い炎を灯す方法は、いくつかあると思う。

体力が足りていないなら、休むしかない。
逃げ出すことも必要だ。

僕がいま、君に伝えるならば…そうだな。

「弱い炎を受け入れること」かもしれない。

弱くても炎を消さず、少しでも「君の願い」に触れ続けること。
小指の先っぽだって構わない。
君は楽器を弾く人だから、何か音楽…それは、新しいものでも聞き古したものでも、構わない…を聞いてみたり
楽器を撫でてみるだけでも、いいかもしれない。
気が向いたら、あのときみたいに楽器を抱えてみてくれ。
出す音が、美しくないとか、ぜんぜんだめだと思ってしまうかもしれないけど。
もうこれは、「そういう日もある」としか言いようがない。
それでも君は前を向くことで、行動することで確実に、君の願いに近づくはずだ。

あとは、気分転換に散歩したり、掃除をしたり、一日中ゲームをやってみたり、試してくれ。
正解はどこにもない。
もし、正解に近づけなかったとしても、「これは違ったな」と思って、別のものを試せばいい。

君は、一度で正解にたどり着けるほど、よくできた人間ではないはずだ。
僕だってそう。

弱い炎でも、発し続けて。
人目に触れるところに、作品を出すのもいいかもしれない。
誰かが、君を助けて、守ってくれるかもしれない。
僕は、いつでも完璧じゃなくてもいいと思っている。
「好きなことでお金を稼げていない」ということが、少し前の僕を苦しめていたような気がするけど、いまは「完璧じゃなくても許される」自由な、身勝手な立場でいられることも、悪くないと思っている。
他人は、君よりも「君の良し悪し」に興味が無いかもしれない。
世界は思っているよりもやさしく、「走り続けた君」を見守ってくれるだろう。
少なくとも、世界でたったひとり、僕だけはそんな気持ちで君のそばにいる。これからも変わらない。それだけは約束しよう。



評価について悩むことも、あると思う。

必ず、数字が増え続けるもの、というものもこの世に存在する。
僕の場合、YouTubeの再生回数がそれにあたるかな。

でも、「前の作品のほうが再生された」という事象は、必ず発生する。
物事は、右肩上がりには進まない。
これも、絶対だ。

大きな評価をもらったあと、次も同じか、それ以上の評価になるとは限らない。

でもそれは、君が劣化したからではない。
いや、劣化したかもしれないけど、それが一体何だって言うんだ。
君の願いを、思い出して欲しい。

僕の願いは「続けること」の中にあるような気がする。
作品や投稿に押されるハートマークの数は、可視化される。
もちろん、数の上下は存在していて、決して右肩上がりではない。
そして、そのひとつのハートが「ひとつの奇跡」であることを僕は忘れない。

こんな僕に出会って、好きだと言ってくれる人がいる。
それって、けっこうな奇跡じゃないか?
僕は絶対に、そのことを忘れない。

大きな評価が、君の足枷になるときも訪れるかもしれない。
でも、忘れないで欲しい、
君の足枷になりたいという理由で、君を評価するような奇特な人は、存在しないということを。

そして僕は”自分が世に出したいと願った作品しか存在していない”と確信している。

もちろん、眠くて「今日は手抜きだな」と思ってしまう日が、ないわけじゃない。
でも、僕はその都度のベストを尽くしている。
そのときいちばん美しい炎を、僕なりのルールや自信を持って発信している。
発信すること自体で、僕の夢は叶っている。

君の夢はどうだい?



他人と比べて悩むことも、あると思う。
もう僕らは「イイトシだし」なんて言える30代に突入している。
僕らより輝いている20代は、たくさんいる。

当然だよ。
僕らなんか、ちっぽけな存在だ。
それでいいじゃないか。

もう、20代に戻ることはできない。
僕たちに残されたのは、未来だけだ。

このまま何もせず歳を重ねるのと、
いまのうちに転んだり挑んだりしながら成長するのと、どっちがいい?
それは、君が決めることだ。
他人はあんまり関係ない。
それなのに、強い光で目を焼かれてしまいそうになるけど、ぐっと堪えて欲しい。
僕も、そうしてきた。
正直、何百回と目を焼かれて、もう歩けないと思ってばかりだった。

そんな僕は、君から見て少し眩しいところにいるんだろう?
僕は、今日だって信じられない気持ちだよ。

そして、僕は僕にしかなれないことに気づいた。
もう、そう思うしかなかった。
それが、良いものかどうか、僕はまだ知らないけれど
いつかの未来の僕が、決着をつけてくれればいいなと思っている。
手を動かして、明日悩もう。
ここ最近の僕はそんな感じで、これが結構悪くないんじゃないか、と思っている。



同じことを続けることで、不安を感じる日もくるかもしれない。
そう、何度も言うけれど「人は適応する」。
最初は「これだけ頑張っていたのに」ということが、「当たり前」になったあと、君は物足りなさを感じるかもしれない。

そういうときは、最初の一歩を思い出して、思いついたことに挑戦してみるといい。
最初は、うまくいかない。
慣れるまでは大変だ。
評価を得られるかもわからない。

でももう、その過程を乗り越えて、ここまできた君だ。
どうか、踏み出して欲しい。

そして、誰かの手が必要になったときは、迷わず僕のところに来て欲しい。
君を助けたい、と
君のすこやかな日々を願っている人間がいることを、忘れないで欲しい。



これは、走り始めた君への手紙であり、
300日前に右も左もわからず、目的地も持たないまま裸足で駆け出した僕への手紙だと思う。
こうやって僕は、歩んできた。

えらそうな先輩面をしてしまって申し訳ないけれど、君がどうか、僕と同じ苦しみの沼に落ちないように。
いや、きっと落ちるのだろうけど、そのときに溺れすぎないように。
これは僕が、君と、過去の僕に投げたロープみたいなものだと思って欲しい。
必要があったら、きちんと捕まってほしい。



もしかしたらこの手紙には、「聞きたくなかったこと」や「大きなお節介」がたくさんあるかもしれない。

あいしている、と言えばすべて片付くとは思っていない。
許されるとも思っていない。

でも、我儘で身勝手な僕だから伝える。

君のすこやかな日々を、願っている。
あんまり君が、不必要に泣かなければいいと思っている。

安全な道を行って欲しい、と思っているわけじゃない。
大いに悩み、苦しむときもあるだろう。

でも、忘れないで欲しい。
今日僕が伝えた言葉の、何か、君に刺さるものがあれば。
どうか抱えて、君の行く末が守られることを、本当に願っている。
僕の”経験”と呼べるかわからない代物が、もし君に必要だったら、遠慮なくぜんぶ持っていって欲しい。
そんな気持ちで、この手紙を書いた。



まあ、また話そう。
人の手が必要になったら、声をかけて欲しい。
君の苦しみは、僕から見えない。
だから、助けを求めて欲しい。

なんで助けるのかって?

僕がもう、すべてを投げ出そうとしたときに、肩を叩いてくれたのは君だったじゃないか。

あのときの恩を、返しているだけだよ。
だから君は、遠慮なく僕に助けを求めてくれ。
あのとき君がいなかったら、どうせ僕は死んでいたようなものだから。

あれから何年経っても、僕たちはまだ友達だ。まだそばにいる。
不思議な縁だ、としみじみ思う。

せっかくのご縁だし、
まだまだ、君の人生に参加させて欲しい。



君のことだから、この手紙は最後まで読んでくれたんじゃないかと思っている。
僕の身勝手な言葉に付き合ってくれてありがとう。

僕はいつでも、いつまでもここで
君の無事を願っている。


2021.0215 まつなが
親愛なる君へ



【photo】 amano yasuhiro
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