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「Jリーグプレミア化」検討報道の真意

Jリーグ、プレミア化 最上位リーグ新設、外国人枠撤廃など検討「推進チーム」たち上げ

Yahooトップの見出しは「Jリーグ「プレミア」創設検討」になっていました。

プレミアリーグ構想はこれまでも何度か浮上しており、今回も具体的な要件に踏み込んだ提言はなく特に目新しい事柄はありません。

今回「リプランニング推進サポートチーム」が立ち上がることで、その中の有力テーマとして位置づけられることになります。

プレミア参入の条件をどうするか

ネットでは賛否両論はもちろんのこと、プレミア参入の条件を具体的にどうするかに議論が集中しているように見えます。

大雑把に分けると
・成績
・事業規模
・観客動員
・スタジアム規格

このあたりがプレミア参入の条件として考えられそうです。

そこでTwitterを利用してちょっとしたアンケートを取ってみました。

私のフォロワーの範囲で見る限り、専スタ・屋根付きに対する要望が高いと言えそうです。

ところが「球技専用スタジアム以外はプレミア参入不可」とすると、
現時点では東京・神奈川のクラブがほとんど漏れてしまうというバグが発生します。

専スタならニッパツ三ツ沢がありますが、拠点とする2クラブのプレミア入りは現状を考えると果たして…

経営規模拡大を狙いとするプレミアリーグ創設で、この2都県のクラブがごっそり漏れてしまうというのはちょっと非現実的です。
現実的に考えられるのは、専スタの場合はプレミア参入の要件を緩和するくらいでしょうか。

いっぽうの屋根に関しては、現在も基本的には屋根付きという規定があるにはあるのですが、例外規定でほぼ有名無実化しているのが現状です。
これでJ1規格満たしてるの?と言いたくなるスタジアムありますよね…

屋根に関する規定を厳格に運用するのがプレミア参入の条件となりましょうか。
ただ、仮に全周屋根を条件とするとかなりのスタジアムが引っ掛かります。
埼スタでさえ条件を満たせなくなります。

今後建設するスタジアムは全周屋根を必須条件として、現存するスタジアムではメイン・バックの全席を覆うか、もしくはメイン・両ゴール裏の三方を覆う程度が現実的な落としどころとは思いますが。

地方中小クラブの経営計画に与える影響

特に懸念されるのが新スタジアム整備構想に対する影響です。
これには二つあって、まずは
「最上位リーグに上がれないならスタジアム整備の意味がない」
と地元関係者に思われてしまう危険性。
今一つは「どうせならプレミア規格を満たすスタジアムを建設したいが、具体的な規格が決まらないことには進めようがない。早く建設したいのに」という、要件整備の遅れがスタジアム整備計画に与える悪影響。

例えば水戸ホーリーホック。
自前で新スタジアムを建設する意向を表明したばかりですが、
今回の「リプランニング推進サポートチーム」は、水戸の経営陣には知らされておりません。
こちらのツイートをご覧ください。

実はプレミア参入が想定されているクラブには内々に話が通してある…なんてことはないですよね?

水戸には苦い過去があります。
J1を念頭にケーズデンキスタジアムを改修したにもかかわらず、後出しでライセンス要件が変更され、J1規格を満たさなくなり煮え湯を飲まされた…といったものです。(現在は笠松を併用する前提でクリアしています)
プレミアリーグ構想で、あの時の二の舞になるのはもう御免でしょう。

要するにプレミア参入条件について決めるなら決めるでとっとと決めてほしいということですね。
そのうえで、水戸自身がどこまで上を目指すかスタンスをはっきりさせる必要があるでしょう。

リーグの決断の遅れは、水戸に限らずあらゆるクラブの中期戦略のロードマップに影響を及ぼします。

「格差を拡大する」という物の見方に対して

プレミアリーグは百年構想の趣旨にそぐわないのではないか。
クラブ間格差が拡大するのではないか。
というのは多くの方が指摘しているところです。

私個人の考えでは、プレミアに参入する規模の大きなクラブが、どこで新規需要を開拓するかがカギであると見ます。
それまでサッカーに興味のなかった層を開拓できれば成功。
地方の中小クラブの顧客を食って終わってしまうのであれば失敗。
後者ではJリーグ全体を通しての市場拡大にはつながらないからです。

「格差」という相対評価より、そちらに目を向けるべきではないでしょうか。

もちろんそのためには、カテゴリや規模に関わらず地元の中小クラブを応援するという機運が根付いているかどうかも重要です。
最近はJFLをはじめ地域リーグや都道府県リーグに関心を寄せる層も増えており、以前よりはこうした草の根のクラブに対する理解も深まっているような気がします。

もう一つ大切なのは、参入の自由は今まで通り保証されるべきということです。
一部で「プレミア化して入れ替えをなくす」というプロ野球を意識した意見がみられるのは確かですが、どんなクラブでも条件さえ満たせばプレミアに昇格出来る道は残しておくべきです。
現実的に条件を満たすのが非常に困難でも、制度として昇格の可能性を残しておくことが重要なのです。
それがプレミア化への理解を広く促すためにも重要だと思います。

大本命…実はこれでは

ここからは少々憶測めいてきます。

大多数の人がプレミアリーグ構想に着目していると思いますが、

・東京都区内のJクラブ誕生へ向けたJ参入緩和策

実はこれこそが「リプランニング推進サポートチーム」の大本命ではないかとさえ思っています。
特定の地名を挙げての参入条件緩和を謳うのはどう考えても異例です。
プレミア云々は、衆目を集めやすいがための単なる当て馬に過ぎません…というのは言い過ぎでしょうか。

「東京都区内にビッグクラブがないのが人気低迷の原因」とまで言い切る勢力もありますが、こうした勢力の意向が色濃く反映された一節と言えるのではないでしょうか。

しかし、プレミアリーグ構想で基準を引き上げようかという議論の一方で、
その中核に位置付けたい?はずの都区内のクラブの参入基準を逆に引き下げるという話が同時進行しているのはちょっと不思議です。

具体的に何を引き下げるつもりなのでしょうか。
観客動員か、スタジアム規格か、成績か。
ご存じのように東京のスタジアム事情はお寒いので、
スタジアムに関して諸々のことに目を瞑るつもりなのかな、という気がしますが…

とにかく参入の既成事実を作ってしまえ、という焦りすら感じさせます。

これってもしかして…

既に特定のクラブの参入を前提として物事が進んでいる

というのは考えすぎでしょうか。

「リプランニング推進サポートチーム」のメンバーを見ると思うところがあるのですが、これ以上は完全な憶測なのでやめておきます。

いずれにせよ、東京都区内を拠点としてJリーグを目指しているクラブも
数多あるので、どう転ぶかは全く予測は出来ませんが…


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